国際原子力エネ協力フレームワークが新設プロジェクトの資金調達問題で国際会議
原子力の平和利用を促進する国際協力フォーラムである「国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)」は5月11日と12日の両日、原子力新設プロジェクトで最大の課題となっている資金調達問題を中心に議論する国際会議「21世紀における原子力エネルギーの役割」を経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)の協力によりパリで開催した。30か国以上の国の産業界や政府機関から150名を超える幹部クラスの関係者が参加し、新設のみならず放射性廃棄物管理や廃止措置、安全・セキュリティの確保においても重要側面である資金調達について、有効なアプローチの開発方法などの解決策を探った。
IFNECの事務局はOECD/NEAが務めており、原子力エネルギーを効率的かつ最高水準の安全・セキュリティ・核不拡散に適合する方法で確実に推進することが目的だ。具体的には、参加国が相互に有益なアプローチを探求する協議の場を提供。基盤整備と核燃料サービスの2課題について作業部会を設けている。現在、日本を含む34か国が参加しているほか、31か国と4つの国際機関がオブザーバーとなっている。
会議冒頭で演説したOECDのA.グリア事務総長は、電力市場ですべての低炭素技術を平等に扱う必要があると指摘。原子力新設プロジェクトにおける資金調達問題と透明性の確保、および新規導入国で適切な安全性を保証する最良の支援方法などについて、IFNECで合意形成を進めるべきだと呼びかけた。OECD/NEAのW.マグウッド事務局長は、低炭素社会への移行で原子力エネルギーが有する潜在的な貢献能力と将来見通しを中心に講演する一方、新設プロジェクトにおいてはその安全性に継続的に配慮する重要性を強調。低炭素技術が持続的に開発可能になるかは、電力市場の健全性と効率性にかかっているとの見解を明らかにした。このほか現地の報道では、EC(欧州委員会)エネルギー総局のG.トーマス副局長が「年末までに新たな電力市場設計についてECが提案を行う予定だ」と述べた模様。同氏によると、市場で電力価格の付け方をどのように再設計するか決まれば、外部投資家も発電に投資すべきかどうかの判断が可能になり、原子力部門への資金供給も決定づけられるとしている。