英デコミ機構:廃止措置技術の研究開発で1,200万ポンドの枠組契約 締結

2016年5月25日

 英国で原子力関係施設の廃止措置や放射性廃棄物管理を担当する原子力廃止措置機構(NDA)は5月23日、これらの作業における革新的技術の研究開発を促進するため、10の企業連合と総額1,200万ポンド(約19億円)相当の研究開発(R&D)枠組契約を締結したと発表した。5か月に及んだ入札手続の結果、2012年の前回の契約以降、新たにAMECフォスター・ウィーラー社、仏アレバ社、および国立原子力研究所(NNL)がそれぞれ率いる企業連合と契約を結んだとしており、総勢70以上の中小企業やグローバル企業、大学が参加するという大掛かりな取り組みとなった。英国内でこれから本格化する古い原子力発電所の廃止措置に備え、使用済み燃料管理やサイト復旧などNDAが掲げる戦略的R&Dプログラムのテーマに沿って、研究開発を進めていくことになる。

 NDAの戦略的プログラムのうち中核を担っているのが「直接研究ポートフォリオ(DRP)」で、ここではNDA戦略に有益な知見を提供し得る研究に対して直接、資金を提供。すなわち、多数の原子力サイト全体に技術革新をもたらすような研究や、専門的技術の開発などが契約対象となる。DRPの契約はまた、廃止措置サイトを運営管理している複数の「サイト認可会社(SLCs)」や政府の廃棄物管理事業を受け持つ「放射性廃棄物管理会社(RWM)」などが参加する「放射性廃棄物・廃止措置研究フォーラム(NWDRF)」が特定した産業間共通のR&D要件も扱っており、多くの場合、SLCや供給チェーンなどで実施中のR&Dプロジェクトよりも広範な研究活動を主導している。

 DRPに基づくNDAのR&D枠組契約は今後4年間をカバーしており、(A)大学との連携、(B)放射性廃棄物の集中管理とサイトの廃止措置および復旧、(C)使用済み燃料と核物質--の3分野に区分されている。(A)の遂行にあたっては5月9日にNNLが率いる企業連合と契約を結んだほか、(B)については契約済みの5企業連合に加えて、AMECフォスター・ウィーラー社の企業連合が新たに加わった。この連合にはドイツのユーリッヒ研究センターやフランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、フィンランドの原子力発電企業フォータム社など多数が参加。(C)ではキュリオン社などが参加するNNLの企業連合に加えて、AMECフォスター・ウィーラー社とアレバ社それぞれの企業連合と新たに契約を締結した。AMEC社の企業連合には、ユーリッヒ研究センターやANDRAなどのほか、放射性廃棄物の処理で豊富な経験を有するスタズビック社も加わっている。一方、アレバ社の企業連合には、廃止措置や廃棄物処分のコンサルティング企業であるクインテッサ社やNSGコンサルタンシー社などが参加している。