米国:ワッツバー2が初併入後に自動停止、営業運転開始日程に変更なし
米国のテネシー峡谷開発公社(TVA)は6月3日、同国において21世紀初の新設原子炉となるワッツバー2号機(120万kW級PWR)を初めて送電網に接続したと発表した。今年の夏の後半にも定格出力による継続運転を可能とするため、出力レベル毎に試運転を続けながら機器のデータを収集するとしていたが、この2日後の5日、午後12時半頃(米国東部夏時間)に同炉はタービン系の不具合により自動停止した。故障点検中の現段階で再稼働の日程は明らかになっていないが、米原子力規制委員会(NRC)の事象報告記録によると、この停止は格納容器などの安全障壁が破られたり安全弁が起動したわけでもない単純なもので、安全機器も設計通り起動。現地の報道では、TVAが予定通りに同炉の商業運転を夏のいずれかの時点で開始すると述べたことが伝えられている。
停止原因に関する暫定データからの推測では、同炉が出力12.5%で稼働していた際に非常用炉心冷却系(ECCS)が起動し、自動原子炉保護システム(RPS)が作動。高圧タービンの蒸気加減弁がうまく開かなかったことが安全注入系の起動につながったとしている。同炉は現在、ホットスタンバイ状態にあり、温度と圧力が通常運転時と同じである一方、核分裂反応が起きていない安定した停止状態に保たれている。