IAEA理事会:放射線リスクに関わる組織上層部の指導力強化で安全要件改定
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IAEAの安全基準カテゴリー©IAEA
IAEAは2008年からGSR全7巻の改定作業を始めていた模様で、今回改定した一巻が最後の作業。これらの安全要件は、安全原則や安全指針などとともにIAEAが設定した100以上もの安全基準全体の重要部分を構成しているが、その多くは技術分野のものだった。2006年に「施設と活動の管理システム」について定めていた要件を、今回の作業で「安全のための指導力と管理」に関するものに改定。有害な放射線から人々の生活や健康、および環境を防護する際の上級管理者の役割を新たに重要視するとし、安全性と防護の問題を最優先とするリーダーシップの発揮を各組織の上級管理者に要求している。また、対象とする組織や施設の規模も、複数の原子炉が立地する原子力発電所から小規模の医療施設、規制機関にまで拡大。これらに対して、事故の発生を防止する安全対策と悪意のある活動を防止するセキュリティ対策が干渉し合わないよう保証することも求めている。
GSRの改定についてIAEAのJ.C.レンティッホ原子力安全・セキュリティ担当次長は、「安全基準は原子力・放射線安全の基盤であるので、状況の進展を反映した改定が必要だ」と指摘。今回の重要な改定によって、安全確保を優先することは中央制御室のスタッフのみならず、組織のCEOを含む職員全員の責任でもあるとするなど、根本的な変更が行われたと強調した。このような要件の履行を通じて、好ましい安全文化が醸成されるとの見解を示した。