アレバ社:新会社設立プランなど2020年までの経営ロードマップ 公表
フランスのアレバ社は6月15日、パリで開催した投資家会合で2016年~2020年までの経営ロードマップを公表するとともに、財政再建計画の詳細を明らかにした。原子炉事業部門であるアレバNP社のフランス電力(EDF)への売却プランに関連して、昨年7月以降に提示してきた方針に沿って同グループの財政再建計画を進めることを確認。2017年中にアレバNP社の売却を実行に移すとしたほか、核燃料サイクル部門を統合して今年後半に新会社を設立するプランなど、欧州委員会や規制当局の承認を得た上で、関連手続の全体像を今後数か月の間に確定する。こうした手続の日程に関する従業員代表団体との協議も開始する考えだ。
財政難に陥ったアレバ社を救済するため、EDFは昨年7月、アレバNP社株の少なくとも51%を購入することでアレバ社と合意。アレバ社はアレバNP社株の最大25%を保有する少数株主として留まることになったほか、フィンランドのオルキルオト3号機(OL3)建設計画の遅れにより被った損失7億ユーロ(約823億円)については、EDFとアレバNP社を関連リスクから除外することになった。また、今年1月の発表の中でアレバ社とEDFは、アレバNP社の取引価格を最終的に25億ユーロ(約2,940億円)とすることで合意した。財政再建の一環として、フランス政府の支援により50億ユーロ(約5,882億円)を増資する原則を取締役会が承認したほか、子会社のキャンベラ社とアレバTA社を売却する方針も決定。2月の発表では、アレバNP社の売却後、同グループ内に残るウラン採掘事業と核燃料サイクルのフロント・エンドとバックエンドの全事業活動を統合して、新しいアレバ・グループを起ち上げるとの判断を示していた。
<財政再建計画の日程>
今回発表されたスケジュールによると、今年後半の作業としてアレバ社は、子会社のアレバ鉱山社、アレバNC(燃料サイクル)社のほか、プロジェクト管理会社や事業サポート会社などを統合した「新会社」を完全子会社として設立予定。資産拠出の一環として、アレバ社の負債の一部は新会社に移行するとした。2017年初頭時点で合計50億ユーロの増資を行うが、アレバ社と新会社でこれを分け合う計画。配分は未定であるもののアレバ社分をフランス政府が出資する一方、新会社の分は政府と戦略的投資家が出資する。この手続にともない、政府は直接的あるいはアレバ社を通じて、新会社株の少なくとも3分の2を保有。この後、2017年中にアレバNP社をEDFに売却するが、OL3関係の契約はアレバ社の会計範囲内に留まるほか、アレバ社の保有として残る15%~25%のアレバNP社株は新会社に移されることになる。
<原子炉事業売却後の財政見通し>
アレバNP社のほか、子会社であるアレバTA社とキャンベラ社を売却して得られる利益は合計29億ユーロ(約3,411億円)にのぼると同社は予測。このような資本の再構築により財政状態が強化され、負債の返済やOL3プロジェクトの完了に伴う経費の支払い、再生可能エネルギーのプロジェクト保証償還といった財政義務が果たされるとした。新会社の方も、リスクの少ないキャッシュフロー創出事業に改めて焦点を定め、2019年から2020年までの中期的市場に資金を補充していく方針。再定義されたフランス原子力産業界の中で、核燃料サイクル専門企業という特異な存在として主要な役割を果たすとともに、アジアを中心とした成長地域の市場に目標を定めていく。年間5億ユーロ(約588億円)のコスト削減を実行することで、2020年までに収益に対する金利・税金・償却前利益(EBITDA)率を約25%とするほか、営業利益率も10%以上を目指す計画。純現金収入により、今後数年間で負債は大幅に削減されるとしている。