ロシア:クルスク原子力発電所Ⅱ期工事1号機に建設許可

2016年6月22日

 ロシアで民生用原子力発電所の運転を担当するロスエネルゴアトム社は6月15日、東部のクルスク原子力発電所でⅡ期工事1号機を建設する許可を連邦環境・技術・原子力監督庁(ROSTECHNADZOR)から取得したと発表した。これにより本格的な建設工事が始まるとしているが、原子炉系統部分でコンクリート打設を実施したかについては言及していない。

 クルスク発電所では現在、チェルノブイリ発電所と同じ軽水冷却黒鉛減速炉(LWGR)が4基(各100万kW)稼働中で、これらは1970年代後半から1980年代後半にかけて営業運転を開始していた。Ⅰ期工事のリプレースと位置付けられたⅡ期工事では、出力125.5万kW、第3世代の最新式ロシア型PWR(VVER)である「VVER-TOI」を4基建設する計画。2013年11月にロシア政府が承認した2030年までの連邦エネルギー計画の中にも盛りこまれていた。Ⅰ期工事の1、2号機を閉鎖するのに合わせて、Ⅱ期工事1、2号機を2021年以降、順次完成させていくことになる。

 発表によると、VVER-TOI設計は、120万kW級VVERの最新シリーズ「AES-2006」をベースに、技術や経済性のパラメーターで最適化を図った設計。クルスクⅡ-1号機はロシア内外で今後建設するVVER-TOIのレファレンス原子炉となるため、建設プロジェクトとしての優先順位も高い。Ⅱ期工事全体の総投資額は4,000億ルーブル(約6,500億円)を超える見通しで、2015年は準備工事に28億ルーブル(約46億円)を投資。これに対して2016年は100億ルーブル(約164億円)を費やす予定だとしている。