米PG&E社:現行認可が満了する2025年でディアブロキャニオン原子力発電所を閉鎖
米カリフォルニア州を本拠地とするパシフィック・ガス&エレクトリック(PG&E)社は6月21日、運転中のディアブロキャニオン(DC)原子力発電所(117万kWのPWR×2基)で運転認可の更新を行わず、現行の認可が満了する2024年11月に1号機を、2025年8月に2号機を閉鎖すると発表した。それ以降は、同発電所による発電量をエネルギーの効率化や再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵といった分野への投資を通じて代替する方針。このような政策を進める理由として、供給地域における電力需要の伸び悩みや再生エネによる発電コストの低下、およびDC発電所で20年運転期間を延長した場合に再生エネとの統合コストが高くなる可能性を挙げた。これにともない、2009年に米原子力規制委員会(NRC)に申請済みだった運転期間の延長申請も取り下げる予定。同発電所が40年間の運転期間を終了した後は、2031年までに再生エネのシェアを55%まで拡大するという同社の意欲的な低炭素化目標の達成に向け、努力を本格化することになる。
DC発電所の閉鎖日程は、同社と複数の環境保護団体および労働団体が同日に発表した「共同提案」に盛り込まれていた。同提案の中でPG&E社はまず、加州におけるエネルギー情勢が大きく変化していると指摘。2030年までに再生エネのシェアを50%まで拡大するとした州政府の政策基準や、エネルギーの効率化を倍増させる目標を定めた州法、太陽光や風力など分散型電源の増加にともなう発電量の調整課題--などへの取り組みの中で、DC発電所の必要性は大幅に減少したと説明した。すなわち、加州のエネルギー政策は再生エネやエネルギーの効率化といった手法に移行しつつあり、DC発電所における全容量は必要なくなる。共同提案はこうした州政府の新しい政策を反映したもので、参加団体毎に様々な見解や見通しはあったものの、加州のエネルギー供給ビジョンを最良の方法で支えていくとともに、橋渡し戦略であるDC発電所を最適かつ責任ある方向に導くという観点で、最終的な合意に達したとしている。
今後は同提案を加州公益事業委員会(CPUC)にかけて承認を得ることになるが、PG&E社は同提案の実行により電気代が上がることはないと強調。DC発電所で認可を更新し、2044年までさらに20年運転するよりも経費は安く付くとの認識を示した。同発電所を新しい低炭素電源に切り替えるまでに8~9年の移行期間があることから、移行の手続やプラン作成を開始する考えだ。加州ではこれまでに合計7基の商業炉が稼働していたが、DC発電所を除いた5基は2013年までにすべて閉鎖されている。