仏規制当局:既存炉18基でSG下鏡の鋼材組成に異常の可能性
フランスの原子力安全規制当局(ASN)は6月23日、国内の商業炉58基(※すべてPWR)中18基の蒸気発生器(SG)下鏡で鋼材組成の異常箇所が存在するかもしれないとの認識を明らかにした。下鏡はSG底部にある半球型の鍛造部品で、1次系冷却水を内包。その設計と製造プロセスにおける品質、および運転中のモニタリングは安全上重要であることから、ASNは異常の可能性がある下鏡の調査継続を事業者のフランス電力(EDF)に要請。EDFでは非破壊検査や超音波探傷検査を行うと見られている。
フランスでは2015年4月、建設中のフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)で、アレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社が製造した原子炉容器上蓋と下鏡に鋼材組成の異常が見つかった。炭素濃度の高い箇所では機械的強度が弱まるため、ASNはそれ以降、他の原子炉機器にFL3と同様の異常が存在するか、特定する分析調査の実施をEDFとアレバ社に指示。EDFに対してはさらに、クルーゾー社あるいは日本鋳鍛鋼株式社が製造していたSG下鏡についても、十分な機械的強度を有していると実証するよう要請していた。その結果、シノンB1、B2号機やシボー1、2号機を含む90万kW級と145万kW級のPWR18基で、SG下鏡に異常の存在する可能性が特定された。EDFはこれらの機器の強度について、運転継続には支障ないとの初期分析報告をASNにしていたが、ASNでは機器の安全性を確認するために詳細な調査の実施を決めたもの。SGや加圧器など格納容器内にある鍛造機器については、分析調査を継続するとの方針を強調している。