アルゼンチン:4基目と5基目の建設計画で中国との協力 再確認
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©アルゼンチン・エネルギー鉱業省
覚書への調印は同日、北京でアルゼンチン・エネルギー鉱業省のJ.J.アラングーレン大臣(=写真左)と中国国家能源局のヌル・ベクリ局長が行った。エネルギー鉱業省の発表によると、アルゼンチン政府は今回の覚書を通じて国内原子力発電設備を拡大するという方針を明確に提示。そのためのプロジェクトが停滞されることは決してなく、国内エネルギー・ミックス多様化の一環として、再生可能エネルギーと原子力を統合し、温室効果ガスの排出量削減に役立てたいと述べた。
アルゼンチンでは現在、アトーチャ原子力発電所1号機(30万kW級PHWR)とエンバルセ原子力発電所(60万kW級PHWR)の2基が営業運転中。アトーチャ2号機(70万kW級PHWR)は2014年10月に初めて国内送電網に接続され、今年5月には規制当局から全面的に運転する許可が出たものの、営業運転を開始したとの発表はない。国内4基目となるアトーチャ3号機の建設計画については、2014年9月にアルゼンチン国営原子力発電会社(NA-SA)と中国核工業集団公司(CNNC)が商業枠組契約に調印。70~80万kWのPHWR建設計画で必要になる技術支援や機器・サービス、資材等をCNNCが長期融資を通じてアルゼンチン側に提供する一方、CANDU炉技術の使用権を持つと言われるNA-SAは、同計画の所有者兼アーキテクト・エンジニアとして準備作業から設計、建設、起動、および運転まで自ら行うことになった。こうしたPHWR路線と並行して、アルゼンチンは大型軽水炉の導入も計画。PWRを初めて採用する5基目の建設サイトは今のところ未定だが、中国側ではCNNCと中国広核集団有限公司(CGN)双方の第3世代設計を融合した「華龍一号」の対南米輸出に道を拓く計画になると説明している。