ドイツ:ハノーバー地裁がE.ON社の損害賠償請求を却下
ドイツ北部のハノーバー地方裁判所は7月4日、福島第一原子力発電所事故の影響により2011年8月に閉鎖されたイザール原子力発電所1号機とウンターベーザー原子力発電所、2基分の損害賠償請求していたE.ON社の訴えを棄却する裁定を下した。これらの原子炉それぞれが立地するバイエルン州とニーダーザクセン州の両州政府と連邦政府を相手取って、同社が損害金として合計3億8,220万ユーロ(約426億8,000万円)の支払を求めたのは2014年10月のこと。裁判長は、E.ON社の2基を含む合計8基の原子炉について連邦政府が2011年3月に命じた3か月の暫定停止期間の後、同社は直ちに法的措置を取るべきだったと指摘。同様にネッカー1号機とフィリップスブルク1号機の閉鎖による損害賠償を2014年に請求したEnBW社に対し、今年4月にボン地方裁判所が下した判決を踏襲する結果になった。
福島第一事故直後、A.メルケル首相は故障により長期停止中だった1基と1980年以前に運転開始した古い7基で安全レビューを実施するとして、3か月間の暫定停止を命令。これを受けた地元州政府の指示により事業者は8基を一旦停止したものの、その後の再稼働は認められず、同年8月にこれら全機が運転期限切れを待たずに永久閉鎖された。ドイツ国内の3大事業者のうち、RWE社はビブリスA、B両原子力発電所について直ちに損害賠償請求を行っており、ヘッセン州の行政裁判所が2013年に州政府の停止命令は違法と判断。控訴審でも2014年に最高裁がRWE社を支持する裁定を下したことから、EnBW社とE.ON社もこれに追従して提訴に踏み切っていた。