英原子力規制局:2017年中にAP1000とUK-ABWRの設計承認へ
英国の原子力規制局(ONR)と環境庁(EA)、およびウェールズ天然資源省は7月12日、国内の新設計画で採用が予定されている原子炉設計について、包括的設計審査(GDA)の四半期毎の審査状況報告書を発表し、ウェスチングハウス(WH)社製AP1000と日立GE社製UK-ABWRの審査がそれぞれ、2017年3月と12月に完了が見込まれるとの認識を示した。AP1000は、東芝が筆頭株主となっているNuGeneration(NuGen)社が、西カンブリア地方のムーアサイド原子力発電所計画で少なくとも340万kW分を建設予定。UK-ABWRの方は、日立製作所の所有するホライズン・ニュークリア・パワー社が、ウェールズ地方のウィルヴァ・ニューイッド計画とサウス・グロスターシャーのオールドベリー計画で少なくとも540万kW分を建設する方針である。
GDAは事前設計認可の一種で、英国内で初めて採用・建設される原子炉設計に義務付けられている。審査範囲は土木建築から原子炉化学まで17の技術分野にわたり、最終承認までの所要期間は約5年。安全・セキュリティと環境保全、廃棄物管理の側面で英国の基準を満たしているかが評価される。これまでに、EDFエナジー社がヒンクリーポイントC原子力発電所計画で採用予定のUK-EPR(英国版・欧州加圧水型炉)について、ONRは2012年12月に初めて設計承認確認書(DAC)を、EAが設計容認声明書(SoDA)を発給している。
WH社製AP1000
AP1000のGDA審査はUK-EPRと同時期の2007年に始まり、2011年12月に暫定的なDACとSoDAが発給されたが、この時点でAP1000の採用顧客が確保されていなかったためWH社は審査の停止を要請。2014年1月にNuGen社がムーアサイド計画を公表したのにともない、審査が再開されていた。現在、最終段階の第4ステップにあるAP1000の審査状況について、ONRは今年2月から4月までの四半期に、機械工学などの技術的側面でWH社と見解が一致したと指摘。残る協議課題は原子炉化学に関するもののみであり、次の四半期中に合意の道筋が拓けるよう期待するとした。WH社は審査の完了日程を2か月延長して2017年3月の承認取得を目指すとしている。ONRはWH社が重役レベルで審査に関わるなど同社のアプローチは大幅に改善されたと評価。ただし、残りの作業量が膨大であるため、日程通りの完了を保証できるかどうかは7月中に実施する詳細かつ総合的な評価にかかっているとした。
日立GE社製UK-ABWR
UK-ABWRのGDA審査は2013年に開始され、2015年10月末に第3ステップが完了。現在進展中の第4ステップにおいては技術的課題が継続的に浮上しているものの、それらは適切に処理されつつあるとした。ONRとしては今後も、さらなる設計変更部分の特定や追加で必要になるかもしれない安全保証文書の作成等に注力していく一方、EAとウェールズ天然資源省では、これまで判明した項目に関する協議プロセスを今年後半から開始するため、評価作業を継続する。全体として、日立GE社が目標とする2017年12月のDACとSoDAの取得は達成可能との判断を下している。
なお、EDFエナジー社が将来的にブラッドウェルB原子力発電所計画への採用を予定している中国の「華龍一号」設計について、ONRは当該四半期中に同社および中国広核集団有限公司(CGN)からGDA申請に関する連絡がなかったことを指摘。規制当局としてはGDAを開始する用意があることを明確に示すため、「参加基準集」を作成したことを明らかにした。