欧州委員会:アレバ社の財政再建計画について国家補助規則との適合性調査
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は7月19日、仏アレバ社の再建計画に対するフランス政府の財政支援が国家補助に当たるかについて、詳細調査を開始したと発表した。この支援により、その他の企業に対して不平等な利益が同社にもたらされないか審査するのが主旨。過去5年にわたり財政難に陥っているアレバ社は昨年7月、原子炉事業部門であるアレバNP社をフランス電力(EDF)に売却する方針を明らかにしたほか、今年に入ってからは、残った核燃料サイクル部門を統合して年内にも新会社を設立する計画を公表。政府などからの支援により50億ユーロ(約5,900億円)の増資を2017年初頭時点で行うとの原則も取締役会が承認したが、これらを実行に移すには、ECや規制当局の承認が必要となっていた。ECの競争政策担当コミッショナーは、「アレバ社再建の重要性と規模を考慮し、その再建計画が健全なものであるか、仏政府の支援がEU単一市場における競争原理を過度に歪めることがないか、などの点を注意深く評価しなければならない」とコメント。調査の目的は、アレバ社がさらなる政府支援を受けることなく将来的にも持続可能となるよう保証することだと強調した。
アレバ社は仏政府が直接的および間接的に86.5%を出資する上場企業だが、ECの発表によれば仏政府は今年4月、アレバ・グループの競争力再生と財政状況の改善を目的とした再建計画をECに通達した。これには40億ユーロ(約4,700億円)の公的資本を投入するという支援策が含まれるとともに、特定の事業活動からの撤退や様々な子会社の売却を通じて同グループが燃料サイクル事業に改めて注力していくことが明記されていたという。ECはまた、困難に陥った事業への国家補助は、競争原理を過度に歪めることがなくEU共通の利益追求に貢献する、などの一定の条件下では承認されることがあると指摘。こうした基準は国家補助に関するEUガイドラインに規定されており、対象事業が将来的に有望であるとともに、競争原理を歪めない対策がとられる場合にのみ、補助が許されるよう意図していると説明した。
現段階でECは、アレバ社の事業を長期的に実行可能とするための前提条件が、公的資金の継続的な投入なしで同社を運営するのに十分現実的であるか、再建計画をチェックする方針。また、EUガイドラインの要件に従い、同グループが再建経費として相当な額を自ら負担できることをECは保証しなければならない。最終的には、競争原理が損なわれないよう仏政府が提案した対策が適切なものになるかを審査することになるとしている。