インド:WH社製AP1000をGEH社用サイトのコバダに建設へ
インドでは2009年に内閣が西海岸グジャラート州のミティビルディをウェスチングハウス(WH)社製PWR×6基の建設サイトに、また、東海岸アンドラ・プラデシュ州のコバダをGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社製BWR×6基用に暫定指定したが、インド上院における7月20日の審議でWH社製原子炉の建設サイトをコバダに変更することで正式決定していたことが明らかになった。同国のN.モディ首相は今年6月に米国のB.オバマ大統領と発表した共同声明の中で、「インド国内における6基のWH社製AP1000の建設に向けて、サイトの準備作業が始まったことを歓迎する」と述べた。また、インド原子力発電公社(NPCIL)とWH社が直ちにサイト設計とエンジニアリング作業を開始し、2017年6月までに契約協定の最終決定を目指して協力していくと明言。2008年に両国政府が原子力協力協定を締結して以来、インドで米国製の原子力発電所を建設する動きがようやく本格化する。
議会審議におけるモディ首相と原子力省(DAE)の答弁書によると、政府は原則承認した両サイトに関する協議をWH社およびGEH社と続けており、これらサイトでこれまで行われた準備活動と土地収用の進展状況に基づき、コバダではWH社との技術協力で原子炉を建設すると決定。一方のミティビルディも、米国製原子炉の建設サイトに指定されている事実に変わりは無いとしたが、サイトの変更理由についてDAEは明言を避けた。また、仏アレバ社製欧州加圧水型炉(EPR)の建設が予定されているマハラシュトラ州ジャイタプールについても、「同様のサイト変更要請が住民や関係組織から出ているのではないか」との問いに対し、DAEは「散発的な反対運動は見受けられるもののサイトの変更は考えていない」と答弁している。
なお、現地の報道によると、首相府担当のJ.シン大臣が翌日のインタビューで、国内の原子力設備容量を10年間で3倍に拡大するとの政府計画を明らかにした。原子力発電に関する目標は当初、5年計画で設定されていたが、モディ首相が政府のシンクタンクとしてインド政策委員会(Niti Aayog)を創設したのにともない、5年という計画概念は妥当でなくなったと同大臣は指摘。政府は7~15年という長期的な範囲で目標提案を行うとしている。また、コバダでは原子炉建設用地の調査が6月初旬に完了し、社会的影響に関する調査が始まったと伝えられている。