フランス:フェッセンハイム原子力発電所の閉鎖補償に関する協議が進展
フランスの稼働中商業炉全58基を所有・運転するフランス電力(EDF)は7月28日、最も古いフェッセンハイム原子力発電所(90万kW級PWR×2基)を永久閉鎖した場合に政府から得られる補償金に関する協議が進展したと発表した。EDFのJ.B.レビィ会長兼CEOが同日の取締役会で、閉鎖が正式決定した際に補償金は固定部分と変動部分の二本立てで支払われるという原則で政府と合意したことを伝えたもの。この情報はEDFの労使協議会にも通達されており、従業員の代表団体を含めた公開協議プロセスが開始されることになった。法定期間内の9月14日に会合を開催し、労使協議会としての意見をまとめることになる。
フランスでは「緑の成長に向けたエネルギー移行法」が昨年夏に成立し、F.オランド大統領が2012年の大統領選挙で公約に掲げていた「原子力発電シェアを現在の75%から2025年までに50%まで削減すること」のほか、「原子力発電設備を現状レベルの6,320万kWに制限すること」などが正式決定した。大統領はフェッセンハイム原子力発電所を2016年までに閉鎖すると公約していたが、同法では最終的に閉鎖プラント名の特定を回避。同国初の欧州加圧水型炉(EPR)として建設されているフラマンビル原子力発電所3号機(163万kWのPWR)の完成に合わせて、事業者であるEDFが閉鎖プラントを特定することになっていた。
その後、EDFは同発電所の将来的な方針について発表を行っていなかったが、一部のメディアは今年5月、同発電所の閉鎖補償に関する交渉をEDFと政府が開始したと報道。エネルギー省のS.ロワイヤル大臣が8,000万~1億ユーロ(約90億~113億円)の補償額をEDFに提示したと伝えていた。
今回のEDFの発表によると、補償金の固定部分は主に閉鎖にともない予想される諸経費で、スタッフの再訓練や発電所の廃止措置に要する経費、「運転終了後コスト」などを特定。一方、変動部分は閉鎖にともなう発電量不足をカバーするのが主旨で、2041年までの電力卸売価格や、90万kW級の既存原子炉による実際の発電量を考慮して決定するとしている。