米規制委:ウィリアム・ステーツ・リー発電所建設計画の安全性を保証
米原子力規制委員会(NRC)のスタッフは8月3日、デューク・エナジー社が申請していたウィリアム・ステーツ・リーⅢ原子力発電所1、2号機建設計画の建設・運転一括認可(COL)審査で最終安全評価報告書(FSER)を発行したと発表した。サウスカロライナ州チェロキー郡の建設予定地でウェスチングハウス(WH)社製AP1000を2基建設した場合、COLの発給を妨げるような安全上の懸念事項は見受けられないと結論づけたもの。この審査でNRCはすでに2013年12月、周辺の環境や住民に影響がないことを保証する最終環境影響声明書(FEIS)を発行した。安全性と環境影響の両面で審査が完了したことから、今後スタッフは年内にも公聴会を開催してFEISとFSERをNRC委員に提示。委員はスタッフの審査結果をCOL発給要件に照らし合わせた上で、COL発給を承認すべきかの票決を行うことになる。
デューク・エナジー社は2007年12月に同計画のCOLをNRCに申請。想定設計であるAP1000は米国における標準設計の1つとしてNRCが認証済みであり、2012年には修正版に対する設計認証(DC)も発給した。NRCはまた、AP1000の建設を想定した最初のCOL(R-COL)を2012年にボーグル原子力発電所3、4号機建設計画に発給しており、同設計を採用した後続のCOL(S-COL)をV.C.サマー原子力発電所2、3号機建設計画に発給。ウィリアム・ステーツ・リー計画でも同設計を採用しているため、設計関連の技術審査ではR-COLにおけるスタッフ見解を適用し、主に建設予定地の立地適合性や環境影響を重点的に審査したと見られている。建設予定地は、デューク・エナジー社が1970年代にチェロキー原子力発電所の一部を建設(その後、中止)した地点で、その際に同社はNRCから建設許可を取得した。今回の審査では、近隣にある川からの取水と貯水池への排水、米中東部におけるNRC地震関係基準への適合性などを検証したとしている。
原子力発電所の新設における許認可リスクを大幅に低減する新しいプロセスとして、NRCはこれまでに18件・28基分のCOL申請を受理。このうち4件・7基分の計画にCOLを発給したほか、ウィリアム・ステーツ・リー計画を含む4件・7基分の申請審査を継続している。一方、仏アレバ社製欧州加圧水型炉(EPR)の建設を想定した計画などを中心に4件・7基分の審査が停止中であるほか、6件・7基分の申請が事業者の要請により撤回されている(=表)。