IAEA:新型原子炉の情報データベースに革新的溶融塩炉とSMR追加
国際原子力機関(IAEA)はこのほど、新型原子炉設計の詳細な技術情報データベース(ARIS)を一新し、革新的溶融塩炉(MSR)と小型モジュール炉(SMR)の情報を追加したと発表した。世界では多くのIAEA加盟国が最新式の核分裂反応炉や高速炉などの研究開発を進めているが、エネルギー要件を満たしたSMRの役割もまた、一層柔軟性のある発電や適正な開発価格に対する必要性から注目を集めつつあるとIAEAは認識。すでに50ものSMR設計や概念が存在するなか、3設計についてはすでに建設が始まっているとしており、ARIS最新版によって、関心を持つステークホルダーは迅速かつ効率的に、様々な原子炉設計の情報にアクセスすることができると強調している。
ARISは2009年にIAEAのウェブサイト上に設置されたデータベースで、加盟各国の設計機関が提供してきた設計説明を掲載。近い将来、建設可能な革新的原子炉設計から開発段階にある原子炉概念まで、様々な規模やタイプの先進的設計の情報を網羅している。管理責任を負う原子力発電技術開発課(NPTDS)では、一貫性のある明解で公平な情報を提供するとともに、ユーザーにとってデータ検索が簡便になるよう努めている。
今回のアップデートでは、革新的MSR技術が加盟国の原子力発電プログラムに加えられる可能性に配慮したほか、SMRについては専門ページを開設。原子炉設計のアイコンをクリックするだけで、特定の規模やカテゴリーの原子炉リストにアクセスできるほか、「Characteristics(特性)」のタブでは、熱出力や運転温度、炉心の電力密度といった特徴毎にパラメーターを表示。様々な原子炉設計で比較が行えるようにした。また、SMRでは重力や自然循環などを利用した受動的安全性を有している点に言及。電動のポンプやモーター、緊急用ディーゼル発電機などの動的機器に頼る従来型の設計に対し、一層の安全性能を提供できるとしている。
※「ARIS」のURL:https://aris.iaea.org/