米BWXT社:GEH社からカナダの原子力発電所向け機器供給JVを買収

2016年8月19日

 米国のBWXテクノロジーズ(BWXT)社は8月18日、GE社と日立製作所がカナダで運営しているカナダ型加圧重水炉(CANDU炉)向け燃料・取替用機器の供給ジョイント・ベンチャー「GE日立ニュークリア・エナジー・カナダ(GEH-C)社」の全株式を購入することになったと発表した。BWXT社は、バブコック&ウィルコックス(B&W)社が2014年に分社化した原子力機器・サービス事業と米政府対応原子力事業の専門会社。今回の購入額は公表していないが、取引は同社のカナダ子会社(BWXTカナダ社)を通じて行われる。規制当局からの承認などを得た上で、今年の第4四半期中に両社は手続を完了するとしている。

 カナダのオンタリオ州では、州政府が「供給エネルギーのクリーン化戦略」を推進中。128億カナダドル(約1兆円)を投じてダーリントン原子力発電所(93.4万kWのCANDU炉×4基)の大規模改修工事を10年計画で進めているほか、ピッカリング原子力発電所(50万kW級CANDU炉×6基)の運転期間を2024年まで延長する計画も承認した。ブルース原子力発電所(80万kW級CANDU炉×8基)についても、総額130億カナダドル(約1兆170億円)の複数年投資プログラムにより2020年から6基分の改修工事を行う計画で、BWXT社は今年7月、同6号機用に取替用蒸気発生器8台を設計・製造・納入する1億3,000万カナダドル(約101億7,000万円)の契約を受注。GEH-C社の株式を買収することでカナダにおける同社の拠点は約2倍に拡大し、同社がCANDU炉の運転期間延長計画による事業チャンスに全力を傾注するという長期戦略が明確になったと説明した。一方のGEH社はCANDU炉事業から撤退し、BWRなどの軽水炉事業に経営資源を集中する方針と見られている。

 GEH-C社は現在、同州のピーターボロー、トロント、およびアーンプライアにある3事業所の合計で約350名の従業員を雇用しており、CANDU炉用の燃料や燃料取り扱いシステム、取替用機器、搬入システムなどを供給。取引完了後もピーターボローにある本部は存続し、BWXTカナダ社による原子力事業全体の一部として活動が継続される。この統合組織はBWXTカナダ社の社長が主導するものの、GEH-C社の社長も、幹部チームの一員として留まる見通しである。