スイス規制当局が明言、「国内原子炉はクルーゾー社による製造記録不正の影響なし」
スイス連邦原子力安全検査局(ENSI)は8月18日、国内で稼働する4サイト・5基の原子力発電所は、フランスの原子力機器メーカーのクルーゾー・フォルジュ社による製造記録の不正疑惑で影響を受けていないとの調査結果を発表した。発電所事業者から要請を受けて同工場の親会社であるアレバ社が確認したもので、ミューレベルク(39万kWのBWR)とゲスゲン(106万kWのPWR)の両発電所ではクルーゾー社が鍛造した大型の安全関連機器が使われていなかった。一方、ライプシュタット(127.5万kWのBWR)とベツナウ(38万kWのPWR×2基)の両発電所では、いくつかの機器が同社の鍛造品であったものの、製造記録や品質保証文書は適切に文書化されており、不正はなかったとしている。
フランスで2015年4月に、建設中のフラマンビル原子力発電所3号機で原子炉容器(RV)の組成に異常が見つかったのを受け、アレバ社はRVを製造したクルーゾー社で品質検査プロセスの審査を開始。仏原子力安全規制当局(ASN)が今年5月、同工場で1965年以降に製造された約400点の原子力部品で、製造パラメーターや試験結果に関する製造記録の不一致や記載漏れ、改変などが認められたと発表したため、ENSIは国内事業者に対して、それぞれの発電所で調査の実施を指示していた。