ロシア:期限満了した使用済燃料管理プログラムを更新

2016年8月29日

 ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社の8月26日付け発表によると、同社の下で原子力発電所の運転に関する研究開発を担当する全ロ原子力発電所運転技術開発研究所(VNIIAES)が同日、2016年~2020年までの使用済燃料管理プログラムを公表した。現行プログラムの期限が満了したことにともなう措置で、ロスアトム社のこれまでの政策どおり、環境面に責任を持った方式で使用済燃料の管理を行うと強調。核分裂生成物に適切な処理を施して回収物質を核燃料サイクルで回していくとしており、40万kW級ロシア型PWR(VVER)「VVER440」と60万kW級高速炉「BN-600」の使用済燃料はチェリヤビンスク州にある生産合同マヤクの施設(RT-1)で再処理を続ける。一方、RT-1で再処理できない100万kW級のVVERと黒鉛減速軽水冷却チャンネル型炉(LWGR)の使用済燃料は発電所内にある貯蔵プールからの移送を進め、ゼレズノゴルスク州にある鉱業化学コンビナート(MCC)で本格的な再処理施設(RT-2)が完成するまで、MCC内の湿式・乾式両方の貯蔵施設で集中的に管理していくとしている。

 VNIIAESは、プログラムの目的は、放射性廃棄物の減容など使用済燃料管理における主要課題の解決であると指摘した。説明によると、LWGRが稼働するレニングラードとクルスクの両発電所では現在、使用済燃料の集合体を分離するシステムについて試験運転を実施中。営業運転段階に入れば、集合体の数量を削減した上でコンテナに貯蔵できるとの見通しを示した。

 ロシアでは使用済燃料を発電所内のプールで保管しているほか、MCC内ではVVERの使用済燃料1,000トンを貯蔵可能な燃料プールを操業するとともに、乾式貯蔵施設も2015年12月に完成。LWGRの使用済燃料専門の乾式貯蔵施設は2012年から稼働しており、初期段階の貯蔵容量は8,000トン規模となっている。また、これらの施設の隣接区域には、複数の再処理技術の開発と試験が行える実規模レベルの施設「再処理実証プラント(PDC)」の第一期工事分が2015年に完成した。PDCの技術を拡大した本格的な再処理施設となるRT-2の年間再処理能力は、VVER1000とLWGR1000から発生する使用済燃料の量に相当する700~800トンとする予定。2025~2030年の操業開始を目指して計画が進められている。