米国がインドネシアのHEU排除完了、東南アジア全域がHEUフリーに
米エネルギー省(DOE)の国家核安全保障局(NNSA)は8月29日、インドネシアが保有していた高濃縮ウラン(HEU)を20%以下の低濃縮ウラン(LEU)に希釈する作業がすべて完了し、東南アジア全域がHEUフリーになったと発表した。インドネシアで商業炉は稼働していないが、国営燃料製造会社(PT・INUKI)が医療用の放射性同位体モリブデン99(Mo-99)を生産した際に排出されたHEUをストックしていたもの。これによりインドネシアは、タイやベトナム、フィリピンなどの東南アジア諸国とともに国内のHEU保有量が1kg未満となり、HEUが排除された世界で31番目(台湾を含む)の国となった。
NNSAによると、インドネシアが保有していたHEUの希釈は同国原子力庁(BATAN)、原子力規制庁(BAPETEN)、およびPT・INUKIとの共同作業の賜物で、今回の発表にはこれらの機関も名を連ねた。今年3月の核セキュリティ・サミットの席上、米国のB.オバマ大統領とインドネシアのM.J.カラ副大統領は、その時点でインドネシアが保有する未照射のHEUすべてが希釈済みであることを明らかにするとともに、残る照射済みHEU(1.4kg)についても、希釈作業を9月までに終えると約束していた。サミット後の数か月間に、NNSAとインドネシアのHEU保有施設は緊密に協力し、米オークリッジのY-12国家安全保障複合施設における技術的知見を活用して、ホットセル内に貯蔵された500本以上の照射済みHEUを劣化ウランと混合。U-235の含有量が20%以下で、簡易核爆発装置を製造できないLEUに変えたと説明した。
DOE/NNSAが進めている各国からのHEU回収と希釈は、核兵器への転用が可能な世界のHEUすべてを防護すべきだとしたオバマ大統領の2009年のプラハ演説に基づいている。インドネシアはDOEおよび国際原子力機関(IAEA)との協力により、HEUを使用するMo-99の生産を2010年で停止。今年後半からは、LEUを使ってMo-99を生産することを計画している。