米規制委が評価、「上半期に99基中96基が安全上良好な実績」

2016年9月6日

 米原子力規制委員会(NRC)は9月2日、全米で稼働する商業炉99基について今年上半期のパフォーマンスを評価した結果、96基までを安全セキュリティ上、良好と見なされる上位2つのカテゴリーに分類したことを明らかにした。国内原子炉の安全性を保証するためにNRCが実施している年次評価手続き「原子炉監督プロセス(ROP)」の一部であり、6月30日までのパフォーマンスで改善が必要であるかを徹底的に審査した上で、結果を事業者に通達したという。ただし、上半期時点の評価・分類は今期を最後に打ち切る方針で、これは作業プロセスの合理化など、NRCを一層効率的な組織とする取り組み「プロジェクト・エイム2020」に基づく判断。NRCのミッションや原則、存在価値に悪影響は及ばないとするスタッフ勧告をNRC委員が承認したもので、スタッフは今後も年間の評価活動を含め、サイト毎の監督に現行のルーチン評価活動を活用するとしている。

 上位2つのカテゴリーに分類した96基のうち、87基は安全セキュリティ関係の目標をすべて、完全に満たしており、安全上の重要度に応じた4段階の色分け「緑、白、黄、赤」のうち「緑」の判定。最低限実施する必要のあるベースライン検査プログラムの適用に留まった。残り9基については、安全上の重要度が低い1~2件の課題を解決する必要性が認められ、色分けでは「白」に分類。このレベルでは、追加点検と是正措置に対するフォローアップが行われるとした。また、これらより安全パフォーマンス・レベルが劣る原子炉は3番目のカテゴリーに分類されるが、今期は該当するものはなし。同カテゴリーでは、NRCや上級管理者が原因に特化した管理・監督や追加検査等を実施することになる。

 安全上の重要度が最も深刻な第4カテゴリー(赤)には、アーカンソー州のアーカンソー・ニュークリア・ワン(ANO)原子力発電所1、2号機とマサチューセッツ州のピルグリム原子力発電所が、前年同期と同様に分類された。このレベルでは、監視の大幅な増強が必要とされており、20数名規模の検査官体制で対応が行われる模様。ANO発電所の2基は2014年に生じた2項目の「黄」色判定が総合評価で「赤」とされた一方、ピルグリム発電所では2013年に重要度の低い「白」に判定された項目が長期間未解決であるためと見られている。