韓国とケニアが原子力協力で覚書締結

2016年9月6日

 韓国電力公社(KEPCO)は9月5日、ケニアにおける原子力発電所の建設など、原子力分野全般の相互協力を目的とした了解覚書をケニア原子力発電委員会(KNEB)と締結したと発表した。2033年までに400万kWの原子力発電設備導入を目指すケニアに対し、原子力政策や事業開発協力のみならず、原子力発電所の設計・建設と運転・保守や、人材育成にも様々な協力活動を展開し、韓国からの原子炉輸出に向けた基盤固めを行うとしている。

 今回の覚書締結は、今年5月に韓国の朴槿恵大統領がアフリカ諸国を歴訪した際、同国と締結した政府間の電力・原子力協力等に基づくもの。産業通商資源省(MOTIE)の招聘により、ケニアのC.ケーター石油エネルギー相を団長とする電力・原子力代表団が訪韓したのを機に、9月2日にソウルで調印された。一行は韓国電力国際原子力大学院(KINGS)や新古里原子力発電所など主要な原子力関連施設を訪問。原子力協力セミナーも開催して、原子力分野における両国の懸案事項や今後の協力方策について議論を行った。KEPCOはすでに2012年から、ケニアと原子力人材育成分野の協力を進めており、KINGSでは14人のケニア人学生が原子力工学の修士課程を卒業したほか、11人が在学中となっている。

 ケニアは人口4,700万人ほどで、現在の総発電設備容量は200万kW程度。その約半分が水力によるもので、電化率は全人口の約30%に過ぎない。このため、政府は2030年までにケニアを中所得レベルの新興国とする開発戦略「ケニア・ビジョン2030」に沿って、持続可能な経済成長のカギと位置付けたエネルギー源の開発計画を進めている。原子力導入計画に関しては様々な国と協力関係を結んでいるところで、KNEBは昨年9月に中国広核集団有限公司(CGN)と協力覚書を締結。CGN側は、中国が輸出用の第3世代設計と位置付ける「華龍一号」をケニアで建設する可能性を探るとしている。