イランのブシェール原子力発電所Ⅱ期工事で起工式開催へ
イラン初の商業炉、ブシェール原子力発電所1号機(PWR、100万kW)を建設したロシアのロスアトム社は9月6日、同発電所Ⅱ期工事の起工式を9月10日に開催すると発表した。式典には、ロシア側から同社のS.キリエンコ総裁と、同社傘下のアトムストロイエクスポルト(ASE)グループのV.リマレンコ総裁が出席する。2、3号機の増設は、1号機の完成前からイラン側が切望していたもので、同社は2014年11月、イランとロシア両国政府間の既存の協力協定を補完する議定書をイラン原子力庁(AEOI)と締結し、同発電所に2、3号機を増設するほか、さらに2基を増設、他のサイトでも4基をターンキー契約で建設する方針を明記。同時に、子会社のNIAEP―ASE社が2、3号機の増設に関する契約、および関連のエンジニアリング調査と初期データ収集に関する契約をイランの原子力発電開発会社(NPPD)と締結していた。
Ⅱ期工事の2基は1号機と同じく100万kW級のロシア型PWRとなるが、最新の安全性能を有する第3世代+の「AES-92」設計を採用予定だとロスアトム社は強調した。インドのクダンクラム原子力発電所1、2号機にも採用された同設計では、動的と静的両方の安全システムや二重格納容器を装備。全電源喪失時に燃料が溶融した場合でも、運転員の介入なしで少なくとも24時間の防護が可能であり、欧州電力会社要求事項(EUR)の技術要件にも適合するとしている。
イランではこのほか、ペルシャ湾のマクラン海岸で出力10万kW程度の小型炉を2基、中国との協力で建設することを計画している模様。狭い地域に低コストの小型炉を複数設置して、熱電併給と海水脱塩に利用すると見られている。イラン国営通信によると、AEOIは2015年8月に中国国家原子能機構(CAEA)と覚書を締結し、民生用原子力発電規模の拡大で協力していくことになった。