南アのエネ相、9月末に新設計画の提案要請書 公表へ

2016年9月15日

 南アフリカ共和国のエネルギー大臣が9月7日の議会審議で「原子力発電所新設計画の提案要請書(RFP)を9月30日に公表する」と述べたとの報道を受け、同国の原子力産業協会(NIASA)は「透明性と公平性に配慮した調達プロセスになる」として、これを歓迎するコメントを9日に発表した。同国の内閣は「2010年~2030年までの統合資源計画(IRP)」に沿って、960万kW分の原子力発電設備新設計画を2015年6月に原則的に決定。RFPでは新設計画における原子炉設計や国産化の程度、1兆ランド(約7兆円)と言われる資金の調達方法などが特定されると見られており、受注に関心を持つロシアや中国、フランス、韓国、米国などの原子炉ベンダーは、これに基づいて提案書を提出することになる。

 2014年9月に同国政府がロシアと原子力産業協力および戦略的パートナーシップに関する政府間協定を締結した直後、南アではJ.ズマ大統領の独断によりロシア企業の受注が決まったかのような報道が広まった。このためエネルギー省は翌月、新設計画の調達プロセスは公平かつ競争原理に基づいたコスト効果の高い方法で進めると明言。2015年12月になると政府は閣議決定事項として、(1)RFPはエネルギー省が発行する、(2)RFPに対するベンダーの反応により最終資金調達モデルを構築し、これを実行に移す承認を内閣から得る--などの方針を明らかにした。すなわち、新設計画をさらに進めるための最終決定は、これらの手続をすべて完了することが条件となっている。

 NIASAは今回のコメントの中で、原子力は急速に増加する国内のエネルギー需要を満たすとともに、国家経済の成長に必要なベースロード電力を効率的かつ環境にも安全な方法で供給できると強調。IRPに裏付けられたエネルギー・ミックス全体における重要な要素であるとした。また、新設計画全般で透明性を求める声をNIASAも支持するとした上で、南ア全体および発電所立地地域で雇用の創出や具体的な発展が促されるよう、落札ベンダーによって国内の関連スキルが開発され、国産化が進むことを求めていくと明言。新設計画のあらゆる段階で透明性が確保され、キチンとした管理が行われることを目標に、すべてのステークホルダーと共に働きたいとの抱負を述べた。