ロシア:海上浮揚式原子力発電所の係留予定地で陸上設備の建設開始
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©ロスエネルゴアトム社
FNPPは出力3.5万kWの舶用原子炉「KLT-40S」を2基搭載するバージ型(タグボートで曳航・係留)原子力発電所。ロシアの極北や極東地域など、燃料資源が乏しく輸送も困難な場所での利用に適しているほか、大型河川の河床にも係留できるため、アジア太平洋地域の島国での需要も見込んでいる。ロスエネルゴアトム社は当初、最初のFNPPはカムチャツカ半島のビルチンスクに係留し、北側に隣接するチュクチ自治管区のペベクには2番目のFNPPを予定していた。しかし、1970年代に運転開始したビリビノ発電所で経年化が進んでいるという事情もあり、同発電所1号機の閉鎖時期に合わせてペベクで優先的に係留することとした。同社は今年7月からサンクトペテルブルクでFNPP発電部分の係留試験を実施しており、機器・システムが設計通りに機能するかを確認中。これを2017年後半までに完了した後、発電所全体として完成させ、北極海経由でペベクまで曳航する。2019年9月にはペベクの設計地点で据付を行い、試運転を開始する計画だ。
10月4日に開催された港湾インフラの起工式では、最初の鋼製板状パイルを基礎部分に据え付けるとともに、記念パネルとタイムカプセルも設置。チュクチ自治管区のR.コピン知事やロスエネルゴアトム社のP.イパトフ副CEO、FNPP建設行政本部長などが出席した。コピン知事は同地区が抱える課題として、同一発電管内にあるビリビノ発電所で閉鎖時期が近づいていることと、金鉱採掘企業など地区内の大規模資源採掘業者に対する十分な電力供給を列挙。地元産業に開発意欲を与えるという観点から、FNPPはペベクのみならず自治管区全体にとって非常に重要であり、その運転開始に期待を掛けていると述べた。