インド:ロシアの協力でクダンクラム3、4号機を着工

2016年10月18日

©インド首相府

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 インド原子力発電公社(NPCIL)とロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は10月15日、両国政府が1988年に結んだ協力協定に基づきインド南端で開発中のクダンクラム原子力発電所について、Ⅱ期工事にあたる3、4号機の増設工事を開始したと発表した。8月末に送電開始した2号機についても、同じ記念式典で竣工を祝い、ロシアからインド側へ正式に引き渡された。原子力供給国グループ(NSG)が30年以上にわたってインドへの原子力資機材・技術の輸出を禁じていた間も、ロシアは同発電所の建設など原子力平和利用分野におけるインドとの協力を継続。2014年には、クダンクラムその他のサイトで今後20年間に少なくとも12基建設するとの「戦略的ビジョン」をインドと策定した。これにはロシアからインドへの技術移転も盛りこまれており、インドにおける将来的な原子力機器国産化も含め、両国の協力関係は一層拡大していく見通しだ。

 これらの発表は、インド西海岸のゴアでBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の首脳会合が開催され、ロシアのV.プーチン大統領とインドのN.モディ首相が会談したのに合わせて行われた(=写真)。3、4号機増設計画では100万kWのロシア型PWR(VVER)を2基建設予定で、ロスアトム社によると、採用設計はロシアのみならず国際原子力機関(IAEA)、および欧州電力要求(EUR)の規制・技術要件を満たしている。一般的な設計作業はロスアトム社傘下のアトムエネルゴプロエクト社が実施した一方、詳細設計や機器供給および技術支援はアトムストロイエクスポルト(ASE)社が請け負った。

 ASEグループのV.リマレンコ総裁によると、インド側はこれまでにクダンクラムⅡ期工事の着工に必要な準備作業をすべて完了。インフラ設備が全面的に整ったほか、建設エリアの設計文書も完成しており、NPCILは発給された掘削許可に基づく作業を実施。15日には建設エリアの基礎スラブとして、地表をコンクリートで固める作業が行われた。現地の報道によると、3号機原子炉建屋部分への最初のコンクリート打設は来年の第1四半期に行われる模様で、工期は約70か月と見られている。両国はまた、後続の5、6号機増設計画についても、一般枠組協定など関連する政府間協定の最終調印に向けた作業を進めていることを明らかにした。