仏規制当局:日本製下鏡を備えた5基の蒸気発生器で炭素偏析の追加調査 指示
フランス国内の商業炉58基(※すべてPWR)について、蒸気発生器(SG)底部の半球形鍛造部品(下鏡)に機械的強度を弱める炭素偏析が存在するか調査中の原子力安全規制当局(ASN)は10月18日、日本鋳鍛鋼株式会社(JCFC)製の下鏡を備えた5基のSGについて、燃料交換等で予定されている定期検査を前倒しして3か月以内に追加調査を実施するよう事業者のフランス電力(EDF)に指示した。
2015年に建設中のフラマンビル原子力発電所3号機の原子炉容器(RV)上蓋と下鏡で鋼材組成の異常が見つかったことから、ASNは稼働中商業炉についても鋳鍛造機器の品質調査を開始した。その過程で今年6月、出力90万kW級と145万kW級の商業炉18基のSGで、下鏡の鋼材に炭素偏析が存在する可能性が浮上したと発表。これら18基で安全性が確保されるか確認するためEDFに下鏡で非破壊検査などの詳細試験を行うよう要請した。これらの下鏡はアレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社、あるいはJCFCが製造していたため、日本の原子力規制委員会は日本国内にも両社製の鍛造品を使用した原子力発電所が存在するか危惧し、今年8月に電力各社に対し対象機器の製造方法とメーカーに関する調査の実施を指示。各社が9月初旬までに提出した結果に基づき、さらなる評価の実施と結果報告の提出を10月末までに求めるなど、影響が広がっている。
SG下鏡に炭素偏析の可能性がある18基のうち12基分がJCFC製で、これらの安全性を保証するためにEDFが提示した情報を、ASNは放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の支援を受けて分析した。その結果、追加調査を実施する必要があると判断したもので、12基のうち7基については、定期検査にともないすでに追加点検を実施中、あるいは完了。これらは、トリカスタン1、3号機、ビュジェイ4号機、ダンピエール3号機、グラブリーヌ2号機、サンローラン・デゾーB1号機、およびシボー2号機である。また、来年春の定検を待たずに追加調査を行う5基は、シボー1号機、フェッセンハイム1号機、グラブリーヌ4号機、トリカスタン2、4号機となっている。追加調査の結果審査についてASNは、補足文書が必要になった場合は数週間を要することになるとの見通しを示している。