IAEA:資材調達契約プロセスの新しい手引きキット 提供

2016年11月1日

 国際原子力機関(IAEA)は10月28日、加盟国が原子力発電所建設プロジェクトで資機材の調達や契約を行う際、案内手引き書となる新しいツール・キットをオンラインで提供すると発表した。入札手続の経済性評価で2000年に提供したコンピューター・プログラム「BIDEVAL-3」に代わるもので、資機材調達戦略の策定や入札の募集、契約交渉とその管理を行うための方法をすべての活動段階毎に明示。様々なタイプの契約に対応する申請ガイドやテンプレートも用意しており、IAEAのウェブサイトから無料で入手することが可能だ。

 原子力発電所の建設においては、完成設備が耐用期間を通じて設計通り機能することを保証するため、効果的な資機材調達と管理が必要であるとIAEAは認識。実効性の乏しい資機材調達は完成設備の安全性を脅かすのみならず、性能を損ない、コストの拡大にもつながるとした。このためIAEAは、資機材調達と契約締結における良慣行を特定し推奨する手法の1つとして、今回のツール・キットを開発。建設プロジェクトの様々な段階で、担当者が有益な情報や参考文献を利用できるよう導くことを意図している。原子力エネルギー局を担当するM.チュダコフ事務次長も「資機材調達や契約締結プロセスは込み入った作業が必要であり、プロジェクトを成功させる重要部分」とした上で、安全・確実かつ持続可能な原子力発電を行うためには、効果的で公正な契約の締結がカギになると指摘した。

 なお、新キットは資機材購入に際して高いレベルの道徳規範と透明性を確保する一助となる一方、技術面や法制面、および財政面で専門的な助言を提供するわけではなく、各国政府の、あるいは国際的なガイドラインや手続、規制に代わるものではないとIAEAは説明。同キットを常に改良し、IAEA以外の有益なソースもキットのリストを加えていくため、関連する示唆や意見があれば提供を歓迎するとしている。