ロシア:80万kW級の高速実証炉「BN-800」が営業運転開始

2016年11月2日

©ロスエネルゴアトム社

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 ロシアの民生用原子力発電会社であるロスエネルゴアトム社は11月1日、親会社であるロスアトム社の承認に基づき、電気出力80万kWの高速実証炉「BN-800」(=写真)がベロヤルスク原子力発電所4号機として営業運転を開始したと発表した。同サイトではすでに、出力60万kWの原型炉「BN-600」が1981年から3号機として稼働しているほか、後続の5号機として出力120万kWの大型商業用高速炉「BN-1200」の建設も2025年に運転開始予定。プルトニウムおよびウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の燃焼が可能な高速炉の実用化に向けて、ロシアは着実に歩を進めている。

 ベロヤルスク4号機は1980年代に着工されたものの、政治体制がロシアに変わる中で作業が一時中断。作業は2006年に本格的に再開され、2014年6月に初臨界を達成した。その後、2015年12月にウラル地方の送電網に初めて接続され、出力を徐々に上げながら段階毎に機器のテストや性能確認などを実施。今年8月にはフル出力による15日間の運転試験を成功裏に完了しており、設計パラメーター通りに通常負荷に耐えられることが確認された。これまでの試運転期間中に、同炉はすでに28億kWh以上を発電。今回の営業運転開始に先立ち、連邦環境・技術・原子力監督庁(ROSTECHNADZOR)はすべての必要項目を確認し、同炉がプロジェクトの仕様と技術ガイドライン、および法令を遵守しつつ運転可能であると結論付けていた。