中国:海上浮揚式原子力発電所の実証プロジェクトを正式に開始
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中国において陸上と海上の両方で利用可能な小型炉の開発は、100万kW級の大型原子炉開発を補完するとともに、エネルギー供給オプションの多様化を図るという位置付け。CGNはフランスの技術をベースに開発した第3世代設計「ACPR1000」の小型版として、熱出力45万kWの陸上用PWR「ACPR100」の設計も進めている。CGNの発表によると、国家発展改革委員会(NDRC)は昨年12月、革新的エネルギー技術の開発に関する第13次5か年計画の一部として「ACPR50S」の実証プロジェクトを承認。CGNはその後、原子炉容器を含む主要機器の製造について入札を実施しており、その結果として今回、CGN研究院と東方電気が購入契約にこぎ着けた。陸上の原子力発電所の場合、中国では原子炉系統部分への最初のコンクリート打設をもって正式着工となるが、土木工事が不要な海上浮揚式の場合は、原子炉容器の調達契約調印が正式着工になるとCGNは指摘。船体部分の建設工事が比較的短期間で済む一方、すべての機器の中でも製造に最も時間がかかる原子炉容器は、今回の契約により正式にエンジニアリング段階に入ると説明した。
海上浮揚式原子力発電所の建設については、現在ロシアが最も進んでおり、民生用原子力発電所を管轄するロスエネルゴアトム社は今年10月、極東地域に位置するチュクチ自治管区のペベクで、世界初の海上浮揚式発電所となる「アカデミック・ロモノソフ」(出力7万kW)の係留用陸上設備の建設工事を開始した。近隣地区にあるビリビノ原子力発電所(1.2万kWのLWGR×4基)をリプレースする形で、2019年に運転開始する予定である。