米エンタジー社:廃止措置作業の加速で閉鎖済み原子力発電所を売却
米国の大手原子力発電企業エンタジー社は11月8日、バーモント州で2014年末に永久閉鎖したバーモント・ヤンキー原子力発電所(BWR、65万kW)をノーススター・グループ・サービス社に売却すると発表した。ノーススター社は施設の解体およびサイトの復旧事業を専門とする企業。この分野のリーダー的存在である仏アレバ社やウェイスト・コントロール・スペシャリスツ(WCS)社とも連携していることから、これらの企業それぞれが得意分野の作業を下請することになると見られている。ノーススター社の子会社にV.ヤンキー発電所を売却するとともに、米原子力規制委員会(NRC)が発給した同発電所のライセンスを移転することで、廃止措置とサイトの復旧作業を数十年、加速することができるとエンタジー社は説明。同発電所は閉鎖後、廃止措置オプションの1つである「SAFSTOR」が適用され、汚染構造物を一定期間安全に貯蔵する措置が取られていた。同社はまた、V.ヤンキー発電所から出た使用済燃料を乾式貯蔵施設(ISFSI)に移送する作業も促進する方針で、2020年に予定していた移送完了日程は2018年に前倒しされると強調した。
エンタジー社の当初計画によると、V.ヤンキー発電所の除染と解体作業は2068年に開始し、廃止措置とサイトの復旧作業は2075年までに完了する予定だった。ノーススター社への売却により、除染と解体は2021年までに、最終的なサイトの復旧は2030年に早められる見通しである。売却価格は公表されていないが、現地の報道によるとエンタジー社は同発電所用の廃止措置信用基金5億7,490万ドルを、使用済燃料の管理義務とともにノーススター社に移すことになると見られている。
なお、発電所の売却手続を実行に移すには、NRCおよびバーモント州公益事業委員会の承認が必要。公益事業委に対してはまた、同じ地域の他の廃止措置プロジェクトと同様のサイト復旧基準をV.ヤンキー発電所にも適用するよう求める方針である。売却手続は2018年末までに完了させたいとしている。