インドのクダンクラムⅡ期工事着工でロシア企業が大型機器製造 開始
ロシアのエンジニアリング企業であるAEMテクノロジー社は11月9日、親会社であるロシア国営原子力総合企業ロスアトム社がインドで受注したクダンクラム原子力発電所Ⅱ期工事の大型機器製造を開始したと発表した。インド最南端のタミルナドゥ州に立地する同発電所では、インド初の大型軽水炉として100万kW級のロシア型PWR(VVER)を採用した1号機が2014年12月に営業運転を開始したほか、2号機も今年8月に送電開始。これらに続くⅡ期工事として、3、4号機(各100万kW級PWR)を増設する記念式典も10月に開催されていた。
AEMテクノロジー社は、原子力機器メーカーであるアトムエネルゴマシ社の一部。今回、Ⅱ期工事の準備作業がすべて完了し、必要な機器や文書、資機材、有資格の従業員もすべて整っていると述べた。最初に製造開始したのは3号機の主循環配管(MCP)で、同社のペトロザボーツク支部が3年前に会得した耐腐食用のメッキ技術を適用したと強調している。
人口の約2割が電気のない生活を強いられているインドでは、2032年までに原子力発電設備を6,300万kWに拡大する計画があり、ロシアは1980年代にインドと結んだ原子力平和利用分野の包括的な政府間協定に基づいてクダンクラム原子力発電所を着工していた。2008年に原子力供給国グループ(NSG)が同国への原子力技術・資機材の禁輸を解除して以降は、米国やフランスの原子炉企業も進出。インドにおいて、これらの企業用の大型軽水炉建設サイトが暫定指定された。また、カナダは1960年代にインドに供給した重水減速研究炉が核実験に利用されたことから、インドへの原子力支援を停止していたが、2010年にはインドとの原子力平和利用協力協定(NCA)に調印。2013年にNCAの実施取り決め(AA)に調印しており、原子力協定の実施状況はAAに則ってカナダ原子力安全委員会が監視するとしたほか、国際原子力機関(IAEA)の保障措置下にあるインド施設に対してのみ、カナダ産の規制核物質や機器および技術の輸出が許されるとしている。