IAEA:三菱重工と仏アレバ社が開発した「ATMEA1」の耐震安全性を評価
国際原子力機関(IAEA)は11月10日、新しい原子炉設計の耐震安全性に特化した評価ではIAEA初となるミッションのため、10月に三菱重工業の神戸造船所に専門家を派遣し、同社と仏アレバ社の合弁事業体ATMEA社が開発した「ATMEA1」の耐震設計はIAEAの関連安全基準に合致していると結論づけたことを明らかにした。同ミッションは「サイトの外部事象および設計(SEED)に関する評価サービス」と呼ばれるもので、自然災害や人的要因が引き起こす外部事象に対して要求される設計安全性やサイトの選定などについて、独自の審査を実施する内容。ATMEA社から派遣要請を受けた5人の専門家チームが「ATMEA1」の耐震設計を裏付ける技術的手法を評価し、安全基準の中でも最も厳しいと言われるIAEA基準に適合していることを保証した。耐震安全性のほかに、同ミッションは総合的な実験データベースの活用や、先進的な耐震設計開発とその性能認定手段を支援する実験能力の開発といった点についても良慣行を特定。IAEAのG.リジェットコフスキー原子力施設安全部長は、実証済みの技術的アプローチや手法がATMEA1には数多く適用されており、耐震面で堅固な設計が構築されていると指摘した。また、このようなタイプのピア・レビューにより、多くのIAEA加盟国、特に原子力発電プログラムの導入を計画している国々では、原子力発電所で高いレベルの耐震性を達成する上で有益であると強調した。ATMEA社のA.ゲーベルCEOも、「独立の立場から耐震安全性を評価してもらう際に非常に有効なサービスだ」とコメントしている。
「ATMEA1」は第3世代プラスの安全設計概念を盛りこんだ110万kWのPWR設計で、2012年にフランスの原子力安全規制当局(ASN)から安全設計の妥当性が評価されたのに続き、2013年にはカナダ原子力安全委員会から同国の最新規制要求を全般的に満たしているのと評価を受けた。同設計はまた、トルコが黒海沿岸で進めているシノップ原子力発電所(110万kW級PWR×4基)建設計画での採用が決まっている。