台湾内閣:放射性廃棄物管理専門の行政法人設立で法案承認
台湾の行政院(内閣)は11月17日、放射性廃棄物の管理を専門とする行政法人の設立を目的とした法案を承認したと発表した。台湾では現在、稼働中の3つの原子力発電所から出る放射性廃棄物の管理責任を台湾電力公司が負い、使用済燃料および蘭嶼島や発電所敷地内で中間貯蔵中の低レベル廃棄物も含めて台湾域内で最終処分する方針。今年1月に発足した民進党の蔡英文政権は、運転認可の満了した原子力発電所から順次閉鎖していき、2025年までに台湾を「非核家園(原子力発電のないふるさと)」とすることを目指しており、放射性廃棄物管理の専門組織設立はその一環となる。同法案成立までには今後、立法院が審議し承認する必要がある。
行政院の発表では、新たに設立される行政法人は放射性廃棄物の最終処分促進と処分関連施設の建設・操業などを担当。行政院長を務める林全首相は、市民の健康と安全を保証することが主な目的だと強調した。法案の1~5条で、組織構成や監督権限、事業範囲、資金調達と関係規則の設定手続などを定めているほか、6~17条では行政法人の理事会メンバーや会長の指名と解任、権限と責任範囲など、18~19条で同法人CEOの権限、職員の権利と義務を明記した。また、20~23条では事業計画とその実施、および評価方法について、24~30条で同法人の経理システムと財務・資産面の規制、監督手続などを盛りこんでいる。
現地の報道によると、同法人の設立は経済大臣の主導で進められており、予算も経済省が監督するものの、行政院に対し独立の立場を有する公共団体となる予定。11~15名のメンバーで構成される理事会の3分の1以上を廃棄物貯蔵地区の近隣住民や市民団体などから公平に選抜し、これにより廃棄物処分における市民参加と透明性の確保、効果的な監督の実現などを意図している。また、使用済燃料の海外再処理についても同法人が責任を持つとしている。