カザフスタン:中仏と共同で中国向け燃料集合体の製造工場 着工

2016年12月9日

 カザフスタンの国営原子力企業カザトムプロム社は12月6日、仏アレバ社および中国広核電力(CGNPC)の協力により、北東部オスケメン市にある傘下のウルバ冶金工場で燃料集合体(FA)製造工場の建設工事を開始すると発表した。アレバ社のFA製造技術を採用して、年間200トンの燃料集合体製造能力を持つ近代的かつフル・オートメーションのラインを、2020年の操業開始を目指して建設する計画。完成品は主に中国の原子力発電所に装荷されるため、総投資額490億テンゲ(KZT)(約167億円)の半分を中国側が負担するほか、製造工場の運営も、ウルバ冶金工場とCGNPCの子会社がそれぞれ51%と49%出資する「ウルバFA社」が受け持つことになる。天然資源に恵まれたカザフは2009年以降、ウラン生産量で世界第一位の座を維持しており、ウルバ冶金工場内ではすでに燃料ペレットの製造が可能。カザフ産のウランで製造した原子炉用燃料を世界の原子力市場で販売することで、カザフのプレゼンスを一層拡大していく考えだ。

 FA製造工場の建設はカザトムプロム社にとって画期的プロジェクトの1つであり、同社の中心戦略である「先進的な核燃料製造能力をともなった垂直統合型核燃料サイクル企業の開発」に基づいている。同社はこのため、2009年にアレバ社と核燃料マーケティングの合弁事業体設立契約を結び、ウルバ冶金工場サイトに400トン/年の燃料集合体製造ラインを建設するプランについて技術的・経済的フィージビリティ・スタディを開始。2010年にはアレバ社の技術による製造ラインを2014年から操業するため、建設工事を受け持つ合弁事業体の設立契約に調印した。2012年の発表によると、これまで同社はロシア型原子炉向けの燃料ペレットを生産していたが、ウランの良好な販売見通しを背景に、今後は西側メーカーが設計したアジアの原子炉向けに燃料集合体製造センターを建設するとしている。今回の着工に先立ち、ウルバFA社はアレバ社とライセンス契約を結んでおり、核燃料製造技術とエンジニアリング文書、主要な製造機器および人材訓練サービスなどがカザフ側に提供されることになった。

 他方、大規模な原子力発電所建設計画を進めている中国とは、2015年12月にカザフのK.マシモフ首相(当時)が中国を公式訪問したのを機に、カザトムプロム社は国内でのFA製造工場の設計・建設、およびウラン鉱山の共同開発に関する通商条件協定をCGNPCと締結。中国の原子力発電所向けに、ウルバ冶金工場で年間200トン規模のFA製造工場を建設することで合意した。今年9月にはN.ナザルバエフ大統領が訪中しており、両社はカザフから中国へ、2016年から2018年まで180トンの燃料ペレットを供給する契約に調印したほか、2024年までカザフ産ペレットを売買していくタイミングについても合意。11月末になると両社幹部が中国で協議の場を持ち、FA製造工場建設計画やウラン鉱山関係の共同プロジェクトで協力関係を促進することを確認していた。