米規制委:ウィリアム・ステーツ・リー建設計画に建設・運転一括認可発給

2016年12月22日

 米原子力規制委員会(NRC)は12月21日、サウスカロライナ州チェロキー郡でウェスチングハウス社製AP1000を2基建設するというウィリアム・ステーツ・リーⅢ原子力発電所建設計画に対して、条件付きの建設・運転一括認可(COL)を19日付けで発給したと発表した。2007年12月にデューク・エナジー社が提出したCOL申請書を審査した結果、安全性と環境影響の両面で適切であると判断したもので、これによりCOLが発給された原子力新設計画は6件・11基となった。ただし、デューク・エナジー社が実際に同発電所を建設するためには、州レベルの承認も必要。同社は現地のエネルギー需要や建設コスト、天然ガス価格、CO2の排出規制、建設期間中の一部コスト回収が州法で許可されるか、などの点を見極めた上で顧客の利益に最も即した判断を最終的に下すとしている。

 デューク・エナジー社が提出した申請書は、NRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)が安全面について独自に審査するとともに、2015年9月にNRCスタッフが取りまとめた安全評価報告書(SER)についても審査。その結果を受けてスタッフは、2016年8月にSERの最終版を発行するに至った。スタッフはまた、周辺環境や住民に影響がないことを保証する環境影響声明書(EIS)最終版も2013年12月に発行済み。NRC委員は12月15日の公聴会でこれらの審査結果をCOL発給条件に照らし合わせた結果、発給承認の判断を下していた。なお、今回のCOL発給の条件として、NRCは(1)福島第一原子力発電所事故後にNRCが要件とした事故時の影響緩和戦略と使用済燃料貯蔵プールの計装強化で具体的アクションを取る、(2)福島第一事故を考慮した緊急時の対策計画と手順について起動前スケジュールを提示する--を課した。これらは今年10月、デューク・エナジー・フロリダ社のレビィ・カウンティ原子力発電所建設計画にCOLを発給した時の条件と同じだが、詳細においてはデューク・エナジー社が1970年代に同じサイトで別の原子力発電所を一部建設(その後、中止)した際、設置した雨水排水管路の撤去を義務付けるなど、異なるところもある。

 NRCがこれまで受理したCOL申請書は18件・28基分(=)となっており、このうちCOL発給に至った6件・11基分の建設計画の中で、2件・4基分(A.W.ボーグル3、4号機とV.C.サマー2、3号機)が実際の建設作業に入っている。申請審査が現在も進行中のものは2件・3基分で、何らかの都合により停止しているものは2件・4基分。これ以外の8件・10基分の建設計画は事業者の要請により申請が取り下げられている。

NRCによる新設計画の建設・運転一括認可(COL)審査状況