IAEAがフランスの深地層処分場計画について安全性をピアレビュー

2016年12月22日

 国際原子力機関(IAEA)は12月19日、フランスで放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が計画している高レベル放射性廃棄物(HLW)等の深地層処分場(CIGEO)建設プロジェクトについて、安全性確保のために採用されている概念オプションや原則のピアレビューを実施したと発表した。仏原子力安全規制当局(ASN)の要請により、9名の国際的な専門家チームを11月6日~15日まで派遣し、同プロジェクトの研究開発戦略や長期的な安全性確保シナリオの設定手法などについて審査。全体的に見て完璧であるとの評価結果を明らかにしており、「処分概念の構造的安定性やANDRAが安全性を実証する能力に関しては合理的に保証できる」と明言した。一方、処分場閉鎖後のシナリオと運用設計に関しては、ANDRAが安全評価を行う上で信頼性をさらに高めるべき点のいくつかを追加で特定。研究開発計画とモニタリング・プログラムの設定についても、一層の改善を行うべきだと勧告した。現在のスケジュールでは、ANDRAは2018年にCIGEOの建設許可を取得し、2025年にパイロット段階の処分開始を目指している。

 CIGEOは1万立方メートルのHLWと7万立方メートルの長寿命・中レベル放射性廃棄物を少なくとも100年間、地下500mの深地層に回収可能な状態で貯蔵するための施設。フランス東部のムーズ県とオートマルヌ県にまたがるビュール地区を含めた30平方kmの圏内で建設することが2010年に確定している。CIGEOの安全確保オプションに関する文書は、ANDRAが作成してASNに提出していたもので、これを審査するASNとしては、IAEAのように独立の立場の専門家からも評価を受けることでCIGEO計画の安全面に関する国内審査を補完する狙いがあった。

 IAEAのチーム・リーダーによると、HLWの処分においては処分施設を「受動的安全性」に基づく状態に置くこと--すなわち、廃棄物を搬入し施設を閉鎖した後、人が介入する必要性を生じさせないことが重要視されている。このため、ANDRAはCIGEOの建設許可を取得する前に、処分システムがどのように設計されているかや、通常の操業時および異常事態の発生時にそれがどのように機能するかなどを説明し、施設を受動的に安全な状態で維持できることを実証しなければならない。また、地震発生時や気候変動時のシナリオについても考慮されるとしている。