米規制委、仏クルーゾー社製の鍛造機器を備えた米国炉17基の安全性を確信
米原子力規制委員会(NRC)は1月10日、国内で稼働する商業炉のうち、仏アレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社製鍛造品を使って製造された大型機器を装備しているもののリストをブログに公表した。それらは主に、アレバ社が直接納入、あるいは第三者ベンダーを通じて納入した取替用の原子炉容器上蓋や蒸気発生器(SG)機器、加圧器などで、米国内13サイトの17基の名前が挙がっているが、NRCは現時点で安全上差し迫った懸念はないとの見解を表明。機器の点検やプラントの停止を直ちに命じる正当性はないとした上で、具体的な懸念を生じさせる新情報が入った場合は適切な措置を取るとの方針を明らかにした。
このリスト情報は、NRCの要請を受けたアレバ社が2016年12月15日に提供したもの。同月末にNRCが情報開示の意向を伝えたところ、今月に入ってアレバ社側から了解が得られたとしている。NRCによると、仏原子力安全規制当局(ASN)がクルーゾー社に対して行った調査では、(1)鍛造品における炭素偏析の存在、(2)機器の品質証明書における記録の不一致や記載漏れ、および改変といった不正--という2つの問題点が浮上。炭素偏析の存在は、特定の状況下では原子力鋳鍛造機器の強度を損なう危険性があるとした。
しかしNRCは、米国における材料物質の品質証明プロセスや劣化管理プログラム、フランスで精査されている原子炉機器の予備的構造評価、クルーゾー社の多国籍点検チームにNRC検査官2名が参加したこと、およびアレバ社から提供された品質証明書関係の情報に基づき、米国原子炉に安全上の懸念は全くないことを確信すると明言。これに加えて、供給された機器が良好に機能していることや、点検時にも安全上の問題が浮上していない点に言及した。また、NRC検査官が3つの原子力発電所の記録を予備的に審査した結果として、アレバ社が安全上問題ないとの合理的評価を下したことに同意すると強調している。