英国のメイ首相、ムーアサイド原子力発電所計画を歓迎すると発言
英国の西カンブリア地方でムーアサイド原子力発電所建設計画を進めているNuGen社は1月12日、T.メイ首相が前日の国会で、「NuGen社と筆頭株主の東芝が提案したムーアサイド計画を大いに歓迎する」と発言していたことを明らかにした。同計画でNuGen社は、東芝傘下のウェスチングハウス(WH)社製AP1000を360万kW分、2024年以降の初号機完成を目指して建設する予定。しかし、昨年末に東芝が数千億円規模の損失を計上する可能性があると発表して以降、現地メディアはムーアサイド計画への投資に影響が及ぶのではないかとの懸念を報道している。NuGen社は、首相の発言によって非常に勇気づけられたとコメント。原子力は英国によるCO2排出削減目標の達成に大きく貢献すると改めて強調したほか、ムーアサイド発電所が英国経済に多大な好影響をもたらすとともに、西カンブリア地方の開発活動促進で重要な触媒になるとの見解を表明した。
今回の首相発言は、下院における首相への質問時間になされたもの。公式議事録によると、与党のM.メンジーズ議員はまず、自らの選挙区でWH社の核燃料工場が1,200人以上雇用している事実に言及。その上で、北西部経済にとって原子力産業が重要であると思うか、また、地域の雇用を保証する次世代原子力発電所の建設を継続的に支持するかと質問した。これに対して首相は、「英国の将来的なエネルギー需要を満たす上で、また低炭素社会に向けて動き出す上では特に、原子力が重要な役割を果たす」と断言。政府が今後策定する産業戦略は、経済成長を促すとともにすべての人々に雇用を保証するという地域の役割を大々的に重視するとし、この意味でNuGen社と東芝の提案を歓迎するとしている。