UAE:2050年までの長期エネルギー戦略策定、原子力で6%供給へ
アラブ首長国連邦(UAE)の副大統領を兼任するムハンマド・ラーシド首相はこのほど、UAEにおける2050年までの長期エネルギー戦略を公表し、今後約30年間で総需要量の50%を原子力や再生可能エネルギーなどのクリーン・エネルギーで供給していく方針を明らかにした。連邦におけるエネルギー需要と供給のバランスを取るだけでなく、CO2の排出量削減といった国際的な誓約にも配慮し、すべての産業部門が成長していくよう安定した経済環境を保証するのが目的だとしている。UAEでは現在、韓国電力公社(KEPCO)の企業連合がUAE初の原子力発電設備となるバラカ原子力発電所(140万kWのPWR×4基)をアブダビ首長国西部で建設中。2020年に4基すべてが完成すれば、この時点の総電力需要の約25%を賄えるだけでなく、年間1,200万トンのCO2排出が抑制できると見込んでいる。この戦略計画は、UAEにおけるすべてのエネルギー関係当局と諮問評議会等が共同作成したもので、連邦初の統一エネルギー戦略という位置付け。今後はエネルギー省と内閣担当未来省が管轄する。年率6%の経済成長を見込んだ上で、2050年までにエネルギー・ミックスにおけるクリーン・エネルギーの割合を現在の25%から50%に拡大。同時に、発電にともなうCO2の排出量も2020年以降30年間で70%削減することを目指す。具体的には、再生可能エネルギーで44%、原子力で6%、クリーン石炭で12%、残り38%を天然ガスで供給するとしており、個人や企業のエネルギー消費量は40%削減する方針。持続的な経済成長を保証しつつエネルギー需要を満たすための投資として、2050年までに6,000億UAEディルハム(約18兆7,400億円)を投入する。実施にあたっては、まず(1)エネルギー消費の効率化と多様化を加速し、(2)エネルギーの生産と輸送を統合する新たなソリューションを模索。さらに、(3)持続可能なエネルギー供給を目的とした技術革新や研究開発に集中すると説明した。
ムハンマド・ラーシド副大統領兼首相によると、エネルギー源の持続可能性を保証することはUAEの持続的な経済成長を保証することにつながり、エネルギー問題に取り組まないのは、国の将来的な行く末を考えていないのと同じこと。湾岸諸国では皆、似たような経済構造であることから、皆が持続的な経済成長を保証できるよう、いつの日か湾岸アラブ諸国協力理事会(GCC)の統一エネルギー戦略を策定したいとの抱負を明らかにしている。