加テレストリアル社:独自の小型溶融塩炉で米国の許認可手続開始へ
カナダを本拠地とするテレストリアル・エナジー社の米国法人(TEUSA)は1月24日、独自に開発中の一体型溶融塩炉(IMSR)について、米国で許認可申請手続を開始する意向を米原子力規制委員会(NRC)に伝えた。2020年代にIMSRを米国市場で販売することを目標に、年内にもNRCとの予備申請作業を開始し、2019年後半に設計認証(DC)審査を申請。米国内で商業用初号機を建設する許可の取得につなげたい考えだ。
溶融塩炉は、燃料として溶融塩にトリウムなどを混合した液体を使用。「第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)」では、国際共同研究開発が可能な6種の原子炉コンセプトの1つにも選定されている。TEUSA社の溶融塩炉は小型のモジュール式で熱出力は40万kW。電力だけでなく、クリーンでコスト競争力のあるハイ・グレードなプロセス熱を併給できるという。今回NRCに送った書簡で、TEUSA社は現在の設計状況や分析・試験結果、認可手続と開発プロジェクトに関する計画などを盛り込んだが、すでに最初の商業炉を建設するサイトについても米国内で4か所を検討中である。これらには米エネルギー省(DOE)のアイダホ国立研究所(INL)やミシシッピー川東部の地点が含まれており、いずれの場合でもIMSRによる熱電併給に商業的展望が拓けるか、調査を開始したとしている。
2016年1月の発表で、TEUSA社はIMSR実証炉をカナダで建設した後、北米その他の地域における市場への売り込みを目指すとしており、技術開発と事業化の資金として1,000万カナダドル(約8億6,300万円)を調達。カナダにおける技術的規制要件の遵守状況を確認するため、同年2月に認可前設計審査をカナダ原子力安全委員会に申請した。同年9月になると、先進的な原子力プロジェクトを対象とする米国政府の融資保証プログラムに申請するようDOEから招聘されたことを明らかにしており、米国内の許認可手続と建設の支援用として8億~12億ドルの保証適用を受ける考えを表明していた。