ポーランド:上半期末までに原子力導入計画の新たな資金調達モデル作成
ポーランド国営通信は1月30日、エネルギー省のK.トゥホジェフスキ大臣が同省主催の原子力発電に関する国内産業会議で「ポーランドの新しい原子力導入プログラムを年内に、資金調達モデルを上半期末までに準備する」と発言したことを伝えた。2016年10月の決定に基づいてこれらの準備を任されたとしており、同国初の原子力発電所建設計画を実行に移すべきかという議論も終わりに近づいたと強調。政府にとって望ましい方法で資金調達が可能であるかによって、今年中に最終判断を下すと見られている。
ポーランドでは国内の2サイトで合計600万kWの原子力発電設備の建設を計画しており、2009年当時の開発ロードマップでは2020年末までの初号機完成を予定していた。2014年になると政府は、原子力関係インフラの構築が先に必要との判断から、計画全体を4~5年先送りする一方、原子力発電所の建設・運転担当企業であるPGE・EJ1社に、新たに国内の電力・エネルギー企業3社が出資参加することを承認した。この計画には日本の原子炉メーカー3社も高い関心を示しており、2015年5月に同国を訪問した高木陽介経済産業省副大臣は日本から財政面や人材育成面で支援を行う用意があると伝えていた。しかし、同国では2015年10月、保守派である「法と正義」党の新政権が発足。現行の原子力導入プログラムには経費がかかり過ぎるとして見直しを行っていた。
この問題についてはエネルギー省も1月31日付けで発表を行っており、トゥホジェフスキ大臣はこの中で「原子力発電所の建設には適正な資金調達モデルを探し出す必要があり、国内の関連企業約300社が有する潜在的な能力を有効活用したい」と発言。商業的事業であるべき原子力発電所の建設にこれらの企業が投資する可能性を探りたいとした。また、CO2排出量抑制の観点から原子力技術の有用性は認識しているとし、原子力によって信頼性の高い電力供給を行いながら、この問題の効果的な対処が可能になると述べた。
現地の報道によると、同相はその5日前に民間ラジオ局のインタビューに応え、これまでに国営エネルギーグループ(PGE)が提案した資金調達モデルには国家予算が含まれるため、受け入れは不可能だと明言した模様。政府としては原子力導入案を完全に除外するわけでは無いが、代わりに国産の無煙炭を使った発電所の新設も検討している。そのため同相は、原子炉1基と、同じ容量の石炭火力3基のどちらを選ぶかといった場合、夏季や冬季のピーク時に電力供給がしばしば滞る際などは特に、賢い投資計画を練らねばならないと述べたことが伝えられている。