アレバ社:米国廃止措置市場でのプレゼンス拡大で米社と合弁

2017年2月3日

 仏アレバ社が米国で所有するアレバ・ニュークリア・マテリアルズ(ANM)社は2月1日、米国で今後の拡大が見込まれている原子力施設の廃止措置市場で台頭していくため、こうした作業の迅速化を目指した合弁事業体「アクセレレイテッド・デコミッショニング・パートナーズ(ADP)社」を米国のノーススター社と設立したと発表した。ノーススター社はニューヨークを本拠地とする経験豊富な環境評価・解体の専門業者で、全米50州で事業認可を取得済みであるほか原子力施設の廃止措置や緊急時対応および資産の復旧管理についても経験がある。一方のANM社は、原子炉事業部門の売却にともない、残る核燃料サイクル部門等を統合して設立された新会社(NewCo)の米国法人。NewCoが原子力施設の機器解体・除染で有する30年以上の経験、および使用済燃料の輸送・貯蔵で蓄積した60年以上の経験を元に、ノーススター社の能力を組み合わせて、施設の廃止措置やクリーン・アップ、ウランの販売と転換・濃縮、使用済燃料管理といったサービスを米国の産業市場と連邦政府市場に提供していく考えだ。

 発表によると、ADP社は米国で原子力施設の廃止措置を安全かつ原子力規制委員会(NRC)と州政府の全要件に準じて実行するため、管理や規制、技術および財政のすべての側面で必要な資格を保有することになる。米国で閉鎖が予定されている複数の原子力発電所についてはすでに、廃止措置と解体の見積り作業を電気事業者と実施中。閉鎖した時点で発電所と使用済燃料の所有権を電気事業者からADP社に移転する条件の交渉も含め、2017年末までにこの作業を完了する計画である。所有権を廃止措置と使用済燃料管理の専門家に完全に移すことで、廃止措置作業を迅速化する革新的アプローチを産業界に提供できるとANM社は強調。2社の能力と専門的知見を結集すれば、閉鎖段階に至った原子力発電所でも安全・確実との認識が産業界や一般市民にもたらされるとした。ノーススター社も、施設の閉鎖が予定されているコミュニティや事業者にとって、ADP社は有能なパートナーになると明言している。

 米国では2016年11月、エンタジー社が2014年に永久閉鎖したバーモント・ヤンキー原子力発電所をノーススター・グループ・サービス社に売却するとともに、NRCが発給したライセンスも移転すると発表した。実際の取引はNRCと州政府から承認を得ることが条件だが、発電所の売却により2068年に予定されていた除染と解体作業の開始は2021年に前倒しされ、2075年に予定されていた廃止措置と復旧作業の完了も2030年に前倒しされる。また、使用済燃料を乾式貯蔵施設(ISFSI)に移送する作業も、当初予定より2年早い2018年に完了するとしている。