ロシア大統領:「ハンガリーの増設計画に100% 資金調達する用意あり」
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©ロシア大統領府
ハンガリーでは、国内唯一の原子力発電設備であるパクシュ発電所(50万kWのロシア型PWR×4基)で総電力需要の約40%を賄っているが、経年化が進んでいるため、将来的なリプレースを念頭に5、6号機の増設を計画している。政府は2014年1月、ロシアからの融資により両炉(各120万kWのロシア型PWR)をⅡ期工事として建設すると発表した後、翌2月に総工費の約8割にあたる最大100億ユーロ(約1兆2,000億円)を完成後21年間の低金利ローンで返済することでロシアと合意。同年12月にはロシアのエンジニアリング企業と(1)エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約、(2)完成炉の運転・管理契約、(3)燃料供給契約--を締結した。
しかし、ECは2015年11月、ハンガリー政府が透明性の確保手順を踏まずにこれらの契約を直接発注したとして、(1)公的調達に関するEU指令に準拠しているか、(2)国家補助規則に適合しているか--の2点について審査を開始。(1)については2016年11月、一部メディアにより、違反行為はなかったとEU側が認めたことが伝えられる一方、(2)については未だ調査中となっている。
2日の記者会見でオルバーン首相は、「障害の大方はすでに取り払われたという点で我々は同意した」とコメント。未解決の一件についても、EUの判断待ちであることを記者達に伝えた。プーチン大統領も、両国がともに同プロジェクトを非常に重要視しているとし、Ⅱ期工事の2基が完成すればハンガリーの発電量は倍増し、新たな生産設備の開発に必要な電力を賄うことができるほか、新たに1万人分の高給雇用が創出されると指摘した。また、ロシアは総工費の80%といわず、100%融資する用意があることをオルバーン首相に伝えたと説明。その場合は合意協定の条件を若干変更することになるが、もちろん実行は可能だと強調した。