IAEA天野事務局長、世界政府サミットで原子力の重要な役割 強調

2017年2月17日

©IAEA

 世界中の政府高官や政策決定者、国際機関のリーダーなどが集まって世界規模の課題を協議する「世界政府サミット」が2月12日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催され、国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長(=写真)は14日、原子力発電所で安全・セキュリティを確保する重要性を強調しつつ、原子力が今後も世界で大きな役割を果たしていくとの見解を表明した。地球温暖化や経済開発、エネルギー供給保証に取り組む際の有力エネルギー源として、現在多くの国が原子力に注目しており、今後数十年の間に原子力の利用は拡大し続けるとの見通しを示している。

 天野事務局長はまず、2011年の福島第一原子力発電所事故を振り返り、原子力発電所の安全・セキュリティ確保でIAEAが中心的役割を担っている点を強調した。同事故以降、安全性が第一であることに誰も異議を唱えなくなり、皆が同事故から数多くの教訓を学習。同事務局長が視察したすべての原子力発電所で変化が見られたとした。また、高レベル放射性廃棄物(HLW)と使用済燃料の管理についても、世界中で進展があったと指摘。地層処分場の建設に向けた手続が具体的に進んでいるフィンランドやスウェーデン、フランスの名を挙げた。

 同事務局長はまた、サミット終了後に開催国UAEの外相やエネルギー相と会見し、UAE初の原子力設備となるバラカ発電所の建設状況について議論した。2012年に同発電所1号機が本格着工した際、UAEが30年ぶりの原子力発電新規導入国になった点に言及。急速な経済成長と電力需要の急増により、UAEが2008年に原子力発電の開発利用プログラムに乗り出したこと、同発電所の4基すべてが完成すれば、2020年までにピーク時の電力需要の25%を賄える見通しであることを改めて指摘した。その上で、IAEAは同発電所の完成に向けてUAEと緊密に連携し続けるだけでなく、バラカ発電所の運転期間中、それ以降も協力していくと強調。さらに、原子力の導入を新たに検討している国に対し、UAEが経験を共有していることを大いに歓迎すると述べた。