EUとIAEA、原子力関連活動の協力強化で合意

2017年2月20日

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 欧州連合(EU)と国際原子力機関(IAEA)は2月16日、ブリュッセルのEU本部で15日に第5回目の高級実務者会合(SOM)を開催し、原子力科学の応用など原子力関連活動における両者間の協力強化で対策を講じていくとの合意に達したと発表した(=写真)。特に、イランの核開発問題を巡って2015年7月に国連安保理5か国とドイツ、およびEUがイランと最終合意した「包括的共同行動計画(JCPOA)」については、それぞれの権限に基づいて支持することを再確認。JCPOAを「最悪の合意だ」と評価する米国のD.トランプ大統領がこれを破棄し、再交渉する考えを公言していることもあり、JCPOA共同委員会の調整役を務めるEUと、イラン側の誓約を検証・監視するIAEAが今後も緊密に連携し、同合意を継続的に実行していく考えが明らかにされた。EUからは具体的に、機器や訓練などの面でIAEAに技術的支援を行うとしたほか、JCPOAで民生用原子力協力について記した第3付属文書の実施に関しても、原子力安全研究などイランとの二国間協力に関する情報を提示した。 

 今回の実務者会合で両者は、原子力安全・セキュリティや保障措置、持続可能な開発、原子力研究と技術革新、原子力科学の応用などにおける協力促進について意見を交換。会合の最終段階で、原子力科学および持続可能な開発への応用分野で両者は実務的な協力取り決めに調印した。これに加えて、両者は中央アジア地域におけるウラン採掘跡の環境復旧問題など、地域協力の強化メカニズムや、核不拡散条約(NPT)運用検討会議の準備委員会についても協議。また共同声明の中では、原子力安全が今後も両者間協力の中心的部分を占める最優先事項であるとの認識で両者は同意しており、2015年にIAEA本部で採択された「原子力安全に関するウィーン宣言」を意欲的に実行し、原子力発電所を運転中、あるいは新たに建設中の国々で安全性の改善が継続的に行われるよう支援するとした。さらにEUは、原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物管理など、バックエンド関係の課題も一層注視されるべきだと指摘。各国別あるいは共用の最終処分場を開発する手続や資金調達で透明性をさらに高めるなど、関係者が一層深く関与することでもたらされる恩恵を強調した。