ロシア:多目的研究炉の建設含めた協力協定をザンビアと締結
ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は2月16日、アフリカ南部のザンビアに原子力科学技術センターを建設するため、同国と政府間協力協定を結んだと発表した。同センターは原子力科学全般にわたる研究活動を可能にする様々な施設と研究所で構成され、出力1万kWの多目的(軽水冷却軽水減速)研究炉も格納予定。慢性的な電力不足に苦しむ同国では将来的に、ロシアの協力により200万kW程度の発電炉建設を計画していると言われており、この研究炉を訓練基地として原子力の専門的人材育成も実施する方針である。ロシアとザンビアは2016年6月に原子力平和利用分野の二国間協力協定を締結しており、同年12月にはこの分野で3つの了解覚書と今回のセンター建設に関する合意文書に調印していた。覚書のうち1つはザンビアにおける原子力発電関係の能力開発と人材育成に関するもので、2つ目は原子力発電に対するザンビア国民の理解促進が目的。3つ目は原子力平和利用の規制と放射線安全に関する協力だった。
今回の協定文書には、ロスアトム社のA.リハチョフ総裁とザンビア内閣府のS.ミチ事務次官がモスクワで署名した(=写真)。原子力科学技術センターでは主に、放射線生物学関係の研究を実施するほか、がんの診断や腫瘍治療に使われる放射性同位体の生産も開始する。また、食糧や農産物の放射線処理、害虫駆除も行って作物の保存期間を延長し、ザンビアからの輸出拡大に役立てるとしている。