中国で建設中の欧州加圧水型炉、営業運転を半年先送り
中国広核集団有限公司(CGN)の子会社である広核電力股分公司(CGNパワー社)は2月20日、広東省台山原子力発電所で2009年から建設している仏アレバ社製欧州加圧水型炉(EPR)2基(各175万kW)の営業運転開始予定日を当初予定から約半年先送りし、1号機は2017年後半、2号機は2018年前半とする考えを明らかにした。同プロジェクトでは1号機が2016年11月に温態機能試験の初期段階に、2号機も機器の設置段階に入っており、1号機はEPR設計の採用プロジェクトとしては世界に先駆けて完成する見通しである。このため、CGNが70%出資するプロジェクト企業の台山原子力発電合弁会社(TNPJVC)は、設計や機器についてさらなる確証試験を実施すると決定。これにともない工期も延長されることになったとしている。
今回の判断は、香港証券取引所(SEHK)の内部情報規定等に基づき、CGNパワー社が建設進捗状況報告としてSEHKに通達した。その中で同社は、2016年1月27日に冷態機能試験をパスした1号機が同年6月24日に格納容器耐圧試験を完了し、設計基準に適合していることが判明したと述べた。温態機能試験は同年11月5日に始まったが、TNPJVCがこれ以降の作業プランと関係リスクに関する包括的な評価結果を整理。熟慮した結果、作業プランを調整するに至ったと説明した。TNPJVCにはフランス電力(EDF)が30%出資しており、原子炉を設計したアレバ社との契約総額は80億ユーロ(約9,557億円)にのぼっている。
EPRの採用プロジェクトとしては、2005年にフィンランドで着工したオルキルオト3号機(172万kW)が世界初。しかし、同国とフランスの許認可方式の違い等によりコンクリート打設や機器の製造に遅れが生じ、現在の日程では2018年の運転開始が見込まれている。また、フランス初のEPRとなるフラマンビル3号機(163万kW)は2007年に着工していたが、土木エンジニアリング作業の見直しや原子炉容器での追加試験実施等により、起動予定日は2018年第4四半期となっている。