米議会上院、ペリー氏をエネルギー省長官として承認
米国の議会上院は3月2日、D.トランプ大統領がエネルギー省(DOE)長官として指名していたR.ペリー前テキサス州知事を62対37の賛成多数で承認した。ペリー氏はテキサスの大手石油ガス生産企業と繋がりがあるほか、地球温暖化の科学的根拠に懐疑的であるなど、DOE長官としての資質を疑問視する意見が野党民主党を中心に噴出。2011年のテレビ討論会でDOEを廃止すべき省庁の1つに挙げていた点も、指名承認を遅らせる一因となっていた。ペリー氏は1月の聴聞会でこの発言を後悔していると述べるとともに、温暖化についても部分的には人的活動が原因であると認めていた。
上院ではエネルギー天然資源委員会がDOEの政策審議を担当しており、同委幹部のM.キャントウェル民主党議員は表決に先だち、反対票を投じるよう同僚議員らに要請。「我々が必要としているのは、効率的な電力グリッドやエネルギーの効率化戦略に投資する21世紀のDOE長官であり、ペリー氏は関連の雇用を国民にもたらすような原則を誓約していない」と非難した。歳出委員会・エネルギー水開発小委員会のD.フェインステイン民主党議員も、「聴聞会でペリー氏は気候が変動しつつあることを認めはしたが、この問題に彼が取り組むことはほとんどないだろう」と指摘した。
一方、エネルギー天然資源委員会のL.マコウスキー委員長(共和党)や同委・水道電力小委員会のJ.フレイク委員長(共和党)は、ペリー氏の長官就任を祝福。地元州でガス・パイプライン開発が進展することや、地元地域を担当するDOE部局への期待感を示した。また、現地の報道では米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック理事長が、ペリー氏に宛てた書簡に3つの勧告項目リストを添付した模様。これらの勧告はホワイトハウス上級スタッフの要請に応えて取りまとめた短期的アクションであり、(1)米国内の既存の原子力発電所を維持、(2)国内により多くの原子力発電所を建設、(3)米国企業が海外でより多くの原子炉契約を獲得--するために、複数の分野で行動を取るべきだとしたことが伝えられている。