ロシアのマヤク施設で初めて100万kW級原子炉の使用済燃料を再処理
ロシア国営原子力総合企業ロスアトム社の週刊メディアである「ストラナ・ロスアトム」の3月13日版によると、チェリヤビンスクにある生産合同マヤクの再処理施設(RT-1)で初めて、100万kW級ロシア型PWR(VVER1000)の使用済燃料が再処理された。同施設ではこれまで、40万kW級VVER(VVER440)や60万kW級高速炉「BN-600」、砕氷船、研究炉などの使用済燃料のみ、再処理していたが、3つあるラインの1つではVVER1000の燃料集合体を剪断できる機器の導入といった改造プロジェクトを段階的に実施した。昨年12月に黒海北部のロストフ(旧ボルゴドンスク)原子力発電所からVVER1000の使用済燃料の試験バッチを持ち込み、このほど再処理を完了したもの。その結果に基づいて、今年からは産業規模でVVER1000燃料の再処理を開始する計画である。マヤクのD.コルパエフ副CEOは今回の成果について、「諸外国に同型の原子炉を売り込む際に、使用済燃料の再処理サービス、および抽出したウランとプルトニウムで製造した新燃料を提供できることは、競争上重要な強みになり得る」との評価を示している。
1977年に操業開始したRT-1は、現在ロシアで唯一の再処理工場で、年間の再処理能力は約400トン。同施設で再処理できないVVER1000と黒鉛減速軽水冷却チャンネル型炉(LWGR)の使用済燃料は、発電所内の貯蔵プール、もしくはゼレノゴルスクにある鉱業化学コンビナート(MCC)内に移送し、MCCで本格的な再処理施設(RT-2)(年間再処理能力700~800トン)が完成するまで集中管理することになっている。ただし、RT-1における実際の作業量は年間150トンほどで、稼働中のVVER440が順次、運転期間を終了するのにともない、持ち込まれる使用済燃料の量も減少していく見通し。その一方で、VVER1000の使用済燃料は年間200トン以上発生し、すでに6,000トン以上、貯蔵中となっている。このため、マヤクではRT-1でVVER1000の使用済燃料200~250トンが再処理可能になるよう、5年以上をかけて設備の最新化を進めていた。
コルパエフ副CEOによると、出力の異なるVVERで使用済燃料の再処理工程に大きな違いはなく、RT-1では今や、VVER1000の使用済燃料を産業規模で再処理する準備が出来た。2017年の後半にサラトフ州にあるバラコボ原子力発電所から約20トンの使用済燃料を受け入れる予定であり、これは原子炉1基の年間排出量に相当。到着後は1か月以内に再処理を終え、技術的および経済的な指標を見定める。具体的には、再処理原価のデータを明確化するとともに技術的プロセスを合理化し、顧客にとって魅力的な再処理サービスが提供できるようコストの引き下げを図るとした。ロシア国内で民生用原子力発電所の運転を担当するロスエネルゴアトム社とは来月にも契約を結ぶ計画だが、マヤクはその際、同社の原子力発電所が排出する全種類の使用済燃料を扱える能力を実証する方針。また、ゆくゆくは海外で稼働するVVER1000や外国メーカー製原子炉の使用済燃料、あるいは破損した燃料集合体の使用済燃料も再処理していく考えを明らかにした。